ワールドカップ 2020.06.24
ラグビーW杯が日本にもたらしたもの 経済効果分析&大会成果分析レポート

ラグビーW杯が日本にもたらしたもの 経済効果分析&大会成果分析レポート

<満席になったスタジアム>
RWC2019のスタジアム入場者数は延べ170万4,443人を記録し、ラグビー伝統国以外では初めての開催でありながら2011年ニュージーランド大会の147万人を超える動員数を達成した。また今大会の最高入場者数を記録したのは南アフリカ代表がイングランド代表を下し優勝を決めた決勝戦で、その数は70,103人だった。会場となった横浜国際総合競技場は国内最大級のキャパシティを誇るが、この試合が同スタジアムでの歴代最多動員数記録を塗り替えることとなった。

RWC2019は、「全ての試合でスタジアムを満員にする」という高いチケット販売目標を掲げていた。開催自治体の販売努力や日本代表の躍進などにも支えられ、中止となった3試合を除いたチケット販売数は171.8万枚を記録した。中止となった試合も含めると、販売チケット数は183.7万枚にも上り、販売率は99%とほぼ完売を達成したと言える。

RWC2019のチケット収入は389億円に達し、大会全体の収益向上に大きく寄与した。またRWC2019では、観戦チケットに食事や専門家による試合解説、ラウンジでのおもてなしといったサービスを付加したホスピタリティパッケージも数多く販売された。今大会の公式 ホスピタリティプロバイダーとなったSTH Japanによれば、本パッケージは国内外のゲスト延べ6万3,000人に販売され、その販売金額は100億円を超えた。

日本伝統の太鼓による演出も好評だった(Photo: Getty Images)

<社会現象化したRWC2019>
■テレビ視聴者延べ人数:8億5,728万人
RWC2019の盛り上がりはスタジアムを満員の観客で埋め尽くすだけに留まらなかった。グローバルにおけるRWC2019大会関連番組のTV視聴者延べ人数は、前回大会より26%増加し延べ8億5,728万人となった。また国内テレビ放送では、日本が強豪スコットランドを破って史上初の準々決勝進出を決めた試合の瞬間最高視聴率が関東地区で53.7%を記録した。

■ソーシャルメディア動画再生数:20.4億回
RWC2019は公式サイト上の動画コンテンツ再生、ストリーミング放送再生数といったデジ タル視聴において大きな実績を残した。大会開催期間中にソーシャルメディアで公開された動画は世界で20.4億回再生され、2015年の前回大会のおよそ6倍の数字を記録した。

<海外訪日観戦客と国際交流>
■訪日観戦客:24.2万人

RWC2019を目的として海外から日本を訪れた訪日観戦客は24.2万人と推計され、ラグビー強豪国の多い欧州など、遠方からも多くの人が日本を訪れた。観戦チケット購入者の居住地情報に基づいて算出されたチケット海外購入率はおよそ28.2%、販売枚数は51.8万枚にのぼる。訪日観戦客の多くが試合観戦にあわせて観光などのアクティビティを楽しみ、日本文化に親しんだ。

■「Impact Beyond 2019」へのアジア全体における参加者:225万人
RWC2019は、ラグビーワールドカップ史上初めてアジアで開催された大会。RWC2019の主催者であるワールドラグビーは、世界中の視線が日本に集まる今大会をアジアにおけるラグビーの存在感を高める大きなチャンスと考え、日本ラグビー協会やアジアラグビー協会、その他22の協会と協力のうえ、さまざまな普及活動をレガシープログラム「Impact Beyond 2019」として展開してきた。アジアの学生や子どもたちを日本へ招待してラグビー体験を提供する国際的な教育プログラムなども実施された。レガシープログラム「Impact Beyond 2019」への参加者はアジア全体で225万人、日本では118万人に及び、日本・アジアにおけるラグビーカルチャーの普及に大きく寄与した。

■タグラグビーを取り入れた日本国内の小学校:6,616校
「Impact Beyondプログラム」の一環として、日本国内6,616校の小学校でおよそ76万9,000人の子どもたちが身体接触がなく誰でも安全に楽しめるタグラグビーを体験した。また、RWC2019開催都市を中心に日本全国のラグビースクールでラグビー体験会を実施し、中学生以下の子どもたち29,000人が初めてラグビーを体験した。

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