ワールドカップ 2020.06.24
ラグビーW杯が日本にもたらしたもの 経済効果分析&大会成果分析レポート

ラグビーW杯が日本にもたらしたもの 経済効果分析&大会成果分析レポート

開会式を盛り上げた歌舞伎パフォーマンス(Photo: Getty Images)

「ラグビーワールドカップ2019日本大会 大会成果分析レポート」

 ラグビーワールドカップ2019(RWC2019)は日本、そしてアジアにおいて初めて開催されるラグビーワールドカップとして2019年9月20日に開幕し、11月2日に南アフリカ 代表の優勝とともに44日間の大会期間を終えた。
 途中発生した大型台風の影響で3試合が中止となりながらも、強豪国を次々と破り初のベスト8入りを果たした日本代表の躍進などで大会は盛り上がり、ビル・ボーモント会長は「RWC2019は最も偉大な大会のひとつとして、記憶に残るだろう」と総括した。
 経済効果の観点では、海外から24万人の訪日観戦客を迎え、総額約6,464億円規模にのぼることが経済効果分析レポートにて報告されている。RWC2019が残した成果は、しかしながら経済面だけではない。満席のスタジアムを通じて発信されたラグビーの魅力、RWC2019ブームの立役者とも言える“にわかファン”という存在、そして巨大台風を乗り切った大会オペレーションなど多方面に及ぶ。

数字で振り返るRWC2019

<大会規模と特徴>
■開催期間 44日間

ラグビーワールドカップは単一競技でありながら44日間もの長期間にわたって開催されるスポーツイベント。この44日間という開催日数は、夏季オリンピックの17日間、サッカーワールドカップの32日間を大きく上回る。ラグビーは選手の激しいぶつかり合いが醍醐味のひとつで、その分、体力の消耗も大きいことから開催期間が長くなる。この約6週間にわたる長い開催期間も、ラグビーワールドカップが世界的なスポーツイベントのひとつと称される理由のひとつ。

開幕前、キャンプ地の宮崎北高校を訪問し、日本伝統の弓道を体験したイングランド代表(Photo: Getty Images)

■開催都市 全国12都市
単一都市で開催されることの多いオリンピックと比べ、より多くの地域にまたがって開催されることはラグビーワールドカップの特徴のひとつと言える。今大会では北は札幌市から南は熊本市まで、個性豊かな12都市で開催され、各都市はそれぞれの地域の歴史や文化、伝統や芸能などユニークな観光素材をラグビー観戦と結びつけ、ゲストを迎えた。岩手県・釜石鵜住居復興スタジアムでは、周囲の自然と調和した建築デザイン、ヘリポートや耐震型 貯水槽など施設の随所に込められた防災の知見が話題を呼び、震災被害からの力強い再生をアピールした。

■ファンゾーン 全国16会場
RWC2019は、ファンゾーンという新しい観戦文化を大きく普及させた大会であると言えるだろう。今大会の開催地となった12都市に設置された16のファンゾーンは、台風の影響で3試合が中止になりファンゾーンが閉鎖されたにも関わらず、合計113万7,288人の入場者を集め、前回の英国大会(105万5,000人)を超えてラグビーワールドカップ史上最高を記録した。

老若男女、たくさんの人がラグビーワールドカップを楽しんだ(Photo: Getty Images)

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