ワールドカップ 2020.06.24
ラグビーW杯が日本にもたらしたもの 経済効果分析&大会成果分析レポート

ラグビーW杯が日本にもたらしたもの 経済効果分析&大会成果分析レポート

■チケット購入者情報
本大会では、訪日客がチケット販売総数(約172万枚 ※中止試合除く)の28%(約49万枚)を購入し、大都市の開催都市のみならず、全国12箇所の開催都市での試合を観戦した。また、アンケート結果では訪日客の76%が東京から入国していたことがわかり、訪日客の各開催都市等への訪問にともなう交通、宿泊、飲食等の支出より経済波及効果を押し上げた。

<訪日客入国都市>
東京76% 大阪9% 福岡5% 北海道4% 愛知2% その他4%

RWC2019による訪日客: 約24万2,000人
アンケート結果では、RWC2019訪日客の約60%が初めて日本を訪れ、75%が「必ず来たい」と日本再訪の意向を示している。一方、2018年の訪日外国人では相応する数字は57%との結果になっている。これはRWC2019が初訪日の誘因となり、将来の再訪日につながる可能性が高いことを示している。RWC2019のようなメガイベントによって、開催時のみならず、将来のインバウンド効果も生み出される可能性があることがわかった。

<RWC2019訪日客の居住地域>
欧州:約13万1,000人
オセアニア:約5万4,000人
アジア:約2万2,000人
北米:約1万7,000人
南米:約9,000人
アフリカ:約9,000人

海外からのラグビーファンのビール消費量も話題となった(Photo: Getty Images)

■インバウンドによる経済効果の要因
RWC2019訪日客の1人あたりの消費金額は2018年訪日外国人の147,907円と比較すると4.6倍となっており、経済波及効果を押し上げる結果になった。RWC2019訪日客の1人あたり消費金額は1人1泊あたり消費単価と滞在期間が要素となっているが、2018年訪日外国人と比較して1人1泊あたり消費金額が約1.7倍、平均滞在期間が約2.7倍になっていることから、実際に1人1泊あたり消費単価が高かったこと、滞在期間が長期間になったことを示している。

<滞在期間>
RWC2019:平均16泊
2018年訪日外国人:平均6泊
RWC2015:平均13泊

RWC2019訪日客と2018年訪日外国人の消費行動を比較すると、1人1泊あたりの宿泊、飲食、交通、娯楽等サービスの消費単価は高く、買物の消費単価は低い金額となった。これは宿泊、飲食、娯楽等サービスといったエンターテイメントに対する消費が買物といったモノの消費よりも重視されたと考えられる。

ラグビーはコンタクト競技のため、試合と試合の間には長いインターバルを要し、RWC2019訪日客が特定のチームの試合のみを観戦すると仮定すると、その期間と試合観戦数により試合観戦のために最低限要する滞在宿泊数が決まる。RWC2019では、1人あたりの平均試合観戦数が多い欧州とオセアニアからの訪日客が全体の約76%を占めていたことから、平均宿泊数が長期化したと考えられる。

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