激闘の連続だった秋の戦い。南北の差は縮まり、チリの躍進も光る。
ラグビーの男子15人制代表による今秋の国際試合は、11月27日のルクセンブルク対チェコ戦で終了となり、年内の世界ランキングはほぼ確定した。
最後に大きく順位を上げたのはチリだ。アルゼンチン、ウルグアイに次ぐ南米の3番手と目されるチリは、11月26日に敵地ソチでおこなわれたロシア戦に42-27で勝利。2019年ワールドカップの開幕戦で日本を苦しめたことでも知られるロシアを下し、世界ランキングはチーム歴代最高タイの23位に上昇した。ロシアは25位に後退。
国鳥がコンドルであることから「ロス・コンドレス」の愛称を持つチリ代表は、先月にはカナダとの2023年ワールドカップ予選(南米・北米間プレーオフ)を制して悲願のワールドカップ出場権獲得まであと一歩と迫っており、来年7月に予定されている南米・北米地区最終プレーオフでアメリカに勝てば、ワールドカップ2023フランス大会への出場が決まる(同プレーオフの敗者は世界最終予選に進む)。
そして、今年のオータム・ネーションズシリーズにおけるトップ10チーム同士の戦いを見ると、南半球勢(南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチン)はトータルで3勝8敗と厳しい結果に終わり、ヨーロッパ勢(イングランド、アイルランド、フランス、スコットランド、ウェールズ)は日本戦の2勝を含め10勝3敗だった。秋の戦いが始まる前のランキングは南半球勢がトップ3を独占していたが、ヨーロッパ勢との差は確実に縮まったと言える。
特に同シリーズの最終節は、ヨーロッパ勢が南半球の4強相手に全勝するという驚きの結果となった。
イングランドは、2019年のワールドカップ決勝で死闘を繰り広げた南アフリカと2年ぶりに対戦し、大接戦を27-26で制してリベンジに成功。トンガ戦を含めてオータム・ネーションズシリーズ3戦全勝で、ランキングは3位に上昇している。
一方、最後に敗れてランキングポイントを減らしたワールドカップ2019王者の南アフリカだが、1位をキープして今年の戦いを終えた。
2023年の自国開催ワールドカップで世界一を狙うフランスもこの秋は負けなしで、最後は、同大会の開幕戦で激突するニュージーランドとの“前哨戦”を40-25で制し、ランキングは5位に上がっている。
ニュージーランドは今年、南半球4か国対抗戦で優勝し2年ぶりに世界ランク1位を奪取したこともあったが、シーズン最後のヨーロッパ遠征では2敗を喫し、結局、ランキング2位に終わった。
そのニュージーランドを下したもうひとつのチームは、アイルランドだ。2019年ワールドカップの準々決勝で敗れた悔しさを糧に、ダブリンでオールブラックスを撃破。アイルランドはオータム・ネーションズシリーズの初戦で日本に大勝し、最後はアルゼンチンを53-7と圧倒しており、3戦全勝でランキングは4位に上昇している。
そして、10月末時点でランキング3位だったオーストラリアは、11月のヨーロッパツアーは3戦全敗で、6位にダウンした。年内ラストゲームはウェールズに28-29と競り負け、悔しい締めくくりとなった。
日本は格下のポルトガルに勝ったものの、強豪のアイルランドとスコットランドに敗れ、今秋のヨーロッパ遠征は1勝2敗。それでも、ランキング10位をキープして新しい年を迎える。