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2020.05.18
【再録ジャパン_01】リーチ マイケル [2008年10月号/解体心書]
「森山ハウスは、すし屋さんなんです。ご飯が本当においしくて、みんな優しい。ご飯といえば、若いコーチの伊藤先生にもお昼に連れて行ってもらった。僕の高校1年のときの目標は体を大きくすることでした。初めはまだ80㌔ないくらい。細くて通用しなかった。伊藤先生と一緒のときはいつも400㌘のハンバーグを二つ。日本ですごく食えるようになった(笑)。こっちに来て後悔したことはないですね。あーでも、夏合宿だけはもう結構です。高1から花園でプレーできました。1回戦、新田に勝って、次に埼工大深谷に80―5で負けた。クリスチャン(現・東芝)にやられましたよ」
札幌時代にマイケルを襲った唯一の試練がある。
高校2年の梅雨時、パパニュイの家が火事に遭った。幸いみんな無事だったが、この時ばかりは足元がふわふわとして、気持ちは沈んだ。
「6月。6月18日でした。しばらくして、家からメールが来て、学校からお金が送られてきたというので、驚いて電話かけ直しました。そこで初めて幹夫先生がしてくれたと分かって。本当にいい人。みんないい人ですよね」
ラグビー部監督の佐藤幹夫監督が、教え子には何も伝えずに奔走し、ラグビー部の家庭はもちろん校内、他校、地域にまで働きかけて厚意を募った結晶だった。
物静かな少年は高校ジャパンを目指すようになった。