【再録・ジャパン_04】田村 優 [2010年12月号/解体心書]
*『ラグビーマガジン』にかつて掲載された2019年日本代表選手のインタビューを抜粋して再録。
【父の背を追いかけて。】
[連載・解体心書]田村 優(明大4年)
快進撃を続ける紫紺の司令塔である。父もまた20数年前、真紅のジャージで関東大学対抗戦を沸かせた。
帝京大が初めて早大を破ったときのスタンドオフ、現在豊田自動織機監督を務める田村誠氏がその人である。
強制されたことは一度もないが、小さい頃から、ごく自然に「ラグビーをやる」と決めていた少年は、最終学年の今年、宿敵である早大を倒して対抗戦優勝、そして大学選手権制覇を目指す。父と同じく早大を破り、父を超えて頂上へと駆け上がるか——。(文:森本優子)
※年齢、所属などはすべて当時のもの。
今シーズン好調の明大。9月19日、この2年敗れていた筑波大を22―16で撃破。この後、11月3日慶應、21日帝京大、12月5日に早大とビックゲームが続くが、慶明戦、早大—帝京大が行われる11月3日の秩父宮は、チケットはほぼ完売。「メイジ復活」は、ファンの足をラグビー場へと向かわせる欠かせない要素でもある。
好調を維持する紫紺にあって、1年生から10番を背負っているのが田村優だ。父は帝京大でSO/CTBとして活躍、初めて早大を破り(’83年度)、「赤い旋風」を巻き起こした田村誠氏。トヨタ自動車で監督、部長を務め、今季トップリーグに昇格した豊田自動織機の監督を務めている。
本人の凛々しい顔立ちは、沖縄出身の母・真奈美さんから受け継いだもの。小学校までは毎年夏休みを沖縄の太陽の下で過ごしていた。
「小学校時代、夏休みのほとんどは浦添市のおばあちゃんの家に行ってました。1日じゅう外で遊んでたので、真っ黒。海に行って泳いだり、おじさんに素潜りで獲ってもらった貝を食べたり。夏休みが終わるころ、岡崎の家に戻るんですけど、帰りたくなかった。小さい頃は泣いてたと思います」