日本代表
2020.06.26
【再録・ジャパン_04】田村 優 [2010年12月号/解体心書]
高1の種目はサッカー。田村のクラスは決勝まで進んだが惜しくも敗れ準決勝に終わる。しばらくすると、監督が担任の先生から呼ばれた。
「保健室に行ってみたら、あいつが泣きじゃくってる。クラスの期待に応えられなかった悔しさからでしょう。担任の手に負えなくて私が呼ばれたんですが、“なんだお前、全国大会で暴れ回ろうって栃木に来た男が、校内大会で負けたくらいでワンワン泣きやがって。お前も大した男じゃねえなあ”と言ったら、すぐに静かになった。けっこうカッコつけるところもあるけど、根は純情で負けず嫌いな男なんです」
何かをしでかして監督を叱る時、最も効いたのが「ラグビーを辞めさせるぞ」の一言だった。
「坊主になって正座して、“ラグビーだけは続けさせてください”ということが何度もありましたよ」
楕円のボールは、僅かな時間で少年の人生になくてはならないものになっていた。
「ラグビーから逃げようと思ったことは1度もないです。吉岡先生は厳しかったけど強制はしなくて、コクトチは自分たちで考えるタイプのチームだったから、自分に合ってたんだと思います。寮の先輩たちもよくしてくれて、高校生活は楽しかった」
高校3年間、花園に出場。進路先は、恩師の勧めに従い明治大学へ。