
【コラム】リーグワン2024-25余話
◾️変わらぬ地元愛。
その試合で喜びを噛み締めたのは、スカイアクティブズの大竹智也。右PRで先発した。
「素直に嬉しいですね。これまであまりタイトルを獲るという経験はしてこなかったので」
広島工、天理大を卒業後、地元チームへの加入を決めた。
2016年に入団した32歳だ。
広島では高校時代にも”タイトル”を残している。「天理に行く前に」と、地元の飲食店をまわって「お好み焼き5玉」「ラーメン替え玉15回」の大食い記録を作った。
「お店に写真が飾ってあります」
加入当時、マツダはトップキュウシュウ所属。トップリーグのチームからも声をかけられながら帰郷することを選んでいた。
「周りからは上に行って欲しいと言われましたが、やっぱり地元が好きだったのでしょう。いまも後悔はありません」
「めちゃくちゃ大都会でもなく、大田舎でもない。ちょうどいい」広島が好きだ。
「ケガが多かったので、プロは厳しいというのもありました。マツダと中国電力さんを見ていて、どちらかにはいきたいなと。自分から声をかけさせていただいた。仕事も100%でやらせてもらっているので、すごく充実しています」
大竹の加入以降、母校の天理大からは続々と後輩たちが加入する。
ともに最前列でスクラムを組んだPR加藤滉紫をはじめ8人の天理大OBが在籍している。うち半分がPRだ。
「後輩が来てくれるのは嬉しいですね。ムードメーカーはたいてい天理。新人の選手が来たら、金丸(勇人)選手が歓迎の舞をします」
スカイアクティブズはリーグワン初年度にD3降格を味わってから、2年連続の4位と成績は振るわなかった。
今季のチームの成長に、就任1年目のダミアン・カラウナHCの存在を挙げた。男子セブンズ日本代表HC、宗像サニックスブルースHCを務めたこともある。
「みんなが誰かのために動くようになりました。バンバン(愛称)はファミリーであることを一番大事にします。これまでよりも仲良いですし、前向きになりました」
上手くいかないと人を変えることで解決しようとしていたチームは、「何がいけなかったかをちゃんと深掘りするようになりました」。例えばスクラムでは、映像を見ながら改善点を指摘し合えるようになった。
「いまは自分が何をすべきか、役割が明確です」
日本製鉄釜石シーウェイブスとの入替戦は、2戦2敗に終わった。
来季こそ、の思いは強い。
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最後に。ブラックラムズのCTB、池田悠希の小ネタを。
グラウンドでは頼りになる男も(今季全18試合に先発出場)、その場を離れれば天然キャラを爆発させる。
昨季の代表活動中に、SNSでのプロモーション用に撮影された中楠一期との対談では、トリートメントを流し忘れてテカテカの髪のまま後輩の家に向かう「抜けてる」エピソードを披露。今シーズンに起こった”事件”も聞いてみた。
「ブルーレヴズとの試合は前泊だったのですが、移動はスーツなのに帰りにスラックスをホテルに置き忘れてしまって…。短パンで帰りました(笑)。ジャケットに短パンはまずいと思って、半袖短パンで。気温が高めでよかったです。(チームの反応は…)池田がまたやったかくらいの感じでした」
来シーズンも、いい話が聞けますように。