コラム 2025.06.13
【コラム】リーグワン2024-25余話

【コラム】リーグワン2024-25余話

[ 明石尚之 ]

◾️フロントローは一番仲良くあるべき。

 松本に会った2日後、同じ秩父宮ラグビー場のミックゾーン(取材対応エリア)では、ブラックラムズ東京の大内真が待機していた。

 SO、FBのアイザック・ルーカスの声を聞いている間、チームスタッフの指示で時間を潰してくれていたのだ。

 ちなみに、代表入りを期待されたルーカスはこう語っていた。
「今シーズンは(ケガの影響で出場できた)試合の数が少なかった。残念ながら代表には呼ばれていません。でも、それがラグビーです。来シーズンはしっかりとカムバックして、チームとしても個人としても良いパフォーマンスを見せたいです」

 あらためて大内真。東芝ブレイブルーパス東京から移籍して2季目を迎えた27歳だ。
 昨季は1試合のみの出場にとどまったが、今季は14試合に出場、11試合で背番号2のジャージーを着た。

「(ある日の)ミーティングで、タンバイ(マットソンHC)から『自分で(試合に出る)権利を勝ち取った』と言われたことがすごく嬉しかったんです。僕は開幕から4試合出られていなくて、正直、2番手でもない立ち位置からのスタートでした」

 序盤戦でめげなかった。今季、右隣で際立つパフォーマンスを見せたPRのパディー・ライアンが、36歳ながらハードワークを重ねる姿を砧(きぬた)グラウンドで見るにつけ、「僕も感化されました」。

「ベテランの選手がロールモデルでいてくれる。そうした助けがあったからこそ、乗り越えられました」

 個人のパフォーマンスは「パーフェクトではなかった」とするも、シーズンが深まるにつれてスクラムはチームの「武器」になった。

「もともと力を持っている選手が多かったと思います。でも、一人ひとりが無理にどうにかしようとしていた。8人でしっかり固まることができた第8節ぐらいから、手応えを感じられるようになりました。スクラムが自分たちの武器と言えることは、HOとして一番嬉しいことです。来季はそれを一発目から出せるようにもっと改善していきます」

 定期的に開催する「フロントローパーティー」は、大内が幹事を担うことが多い。
 日川高校卒業後はNZへ留学。英語でのコミュニケーションも堪能だ。

「それまでは西(和磨)さんとかがやっていて、たまたま僕がいまやっているだけです。フロントローはやっぱり仲良いですし、チームで一番仲良くあるべきだと思っています。これからも自分の役割のひとつとして続けていきます」

 個人としては、同級生で「ほぼ毎日一緒にいる」という武井日向らとのポジション争いに、再度チャレンジャーとして挑む。

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