
【コラム】リーグワン2024-25余話
◾️強豪校出身でなくとも。
サングスターと同じLO、FLをこなす日本人に、松本光貴がいる。
三菱重工相模原ダイナボアーズに加入して実質1シーズン目。日本ラグビー協会が主催する「ビッグマン&ファストマン(以下、B&F)キャンプ」の1期生だ。
190センチ、100キロ。正真正銘のビッグマンである。
体格や身体能力に優れた高校生を発掘することを目的としたこのプロジェクトは、2018年から始まった。
これまで、八戸工出身の佐々木柚樹(現・浦安DR)や川西北陵出身の能勢涼太郎(現・近大4年)といった無名校出身者を世代別代表、あるいはリーグワンの上位クラブに送り出している。
同キャンプを追ってきた身として、1期生に話を聞きたかった。
それがシーズン最終戦で叶った。
雨の日の金曜ナイター(5月9日)で、後半34分に途中出場。浦安D-Rocksを相手に5キャップ目を獲得した。
「今日はボールに触る機会も多かったので、ハードワークできたと思うのですが、ラインアウトで上手くサインを伝達できませんでした。ダイナボアーズに来て、相手のディフェンスを見てサインをチョイスしたり、タイミングをどうするかは学んできたことです。次までに改善したい」
実は、リーグワンデビューは二度も見送られていた。第11節から2試合続けてベンチ入りも、出場機会は訪れなかった。
その2試合で、チームは東京サンゴリアス、トヨタヴェルブリッツを連破する。
「もどかしい気持ちというか、チームが勝っても喜び切れない自分がいたのですが、次に行くしかなかった。試合を終えるたびに、次の試合にフォーカスしていました」
第13節は直前のメンバー変更でリザーブから先発へ。後に準優勝するクボタスピアーズ船橋・東京ベイとのデビュー戦はフル出場だった。
「強みのタックルは少しずつ見せられていると思います。そういう場面をもっと増やしていきたいです」
B&Fキャンプに声がかかったのは、明大中野八王子の2年時だ。
誘われていなければ、「ラグビーを辞めていたかもしれない」と明かす。
「それまでトップレベルでラグビーすることを意識したことがありませんでした。でも合宿で代表クラスのコーチングを受け、トップを目指していいんだと思いました」
高3時には飛び級でU20日本代表入り(2019年)。明大を経て、ディビジョン1のクラブへの入団を果たした。
「大学では出たり出なかったりで不完全燃焼だった中、リーグワンでプレーするチャンスをいただけました。高校は強くはなかったですが、やっていけると証明したい。いま同じ境遇にいる人たちにも、自分も活躍できると思ってもらえるように頑張りたいです」