
【コラム】リーグワン2024-25余話
◾️大変だけど充実。
舞台は福岡、そしてD3へと移る。
ホスト最終戦にして初めて、新規参入チームのルリーロ福岡を取材できた。
試合はマツダスカイアクティブズ広島に12-35で敗れ、相手のD3初優勝を見届けることになったが、松尾将太郎の表情は明るかった。
「D3のトップチームにここまでできた(前半12-21)。試合を重ねるごとに、みんなが本当にタフになってきたし、シーズン序盤は個人に走るプレーが目立っていたけど、組織力もどんどん上がっています。ノンメンバーも含めた1週間の準備も良くなっている。負けはしたけど、自信になりました」
明大4年時には大学日本一を経験した司令塔。卒業後はNTTコム、浦安D-Rocksで過ごし、今季から地元・福岡に戻ってきた。
「前の所属チームに残れないことになり、どうするかをいろいろ模索する中で、NTTで転勤できることになりました。なかなか社会人になってから試合に出る機会が少なかったので、地元に戻って自分が小さい頃に憧れたように自分のプレーを子どもたちに、そして両親に見せたいと思いました」
福岡市内にあるNTTドコモ九州支社にはフルタイムで勤務。会社の理解もあり、勤務時間を早めている。
「6時前には起きて、8時前に出社します。練習がある日は16時半頃にあがらせてもらって、うきはに向かい、練習が終わって帰ってきたら12時を過ぎています。大変か、と聞かれたら100%、いや120%大変です(笑)。でも、会社や奥さんのサポートがあってラグビーをやらせてもらっている。言い訳はナシです」
松尾のようにリーグワンでのプレー先を探して、ルリーロにたどり着いたメンバーは多い。
代表を務める島川大輝さんは来るものを拒まず、開幕前には71人までスコッドは膨れ上がっていた。
「人数多いよね、とよく言われるのですが、このチームの良さは一人ひとりがチームにコミットしていることです。いろんなチームから加入していて、いろんなバックボーンを持った選手がたくさんいるけど、一人ひとりが試合に向けてどう準備するか、自分が何をしないければいけないかを考えて動いています。みんな、ラグビーが大好きで集まっていますから。ボランティアの皆さん、地域の皆さんもサポートしてくれて、応援にもたくさん来てくれてます。それがこのチームの価値です」
2022年に誕生した発展途上のチームだ。「もう自分は若くない」という28歳は、「練習中から自分のテクニックを教えたり、話し合いながら若い選手の力になりたい」と誓った。