【コラム】ついに今日、デビュー! 新しい日本代表ジャージーは、見た目「少年系」、機能は成熟の一着
今回のジャージーは2019年の強烈な記憶(自国開催にして初8強)をバックに、現場からは「デザインを変えないで」との希望が出たという。コンセプトは「兜」を継承し、吉祥文様もそのままになった。安心した。白パン、白ソックスも基本一緒だ。
「あんまりイメージ変わんないね」の大方の感想は、選手たちとファンのニーズを捉えている。見た目の変更がいくつか。角度の入ったシンボリックな段柄は、前面では前回が4段、今回は5段になった。えりは消えて(えりのような形の絵柄がある)、ジャパン史上初めてのクルーネック(丸首)になった。
デザインとは見た目だけでなく機能の結晶である。丸首は、「機能性を求めた結果」(開発総責任者の石塚正行氏)だという。多くのデザインの中から、どのポジションの選手にとってもフィット感が良いものが選択された。軽量化や強度を支えてもいるだろう。
今回のジャージーの看板となっているSDG’S。工業技術的に言うと、リサイクル素材には2種類あるそうだ。流通するものの多くは「マテリアルリサイクル」。ペットボトルなどを熱で溶かして再加工したもの。
このプロダクトがラグビーギアとして珍しいのは、原料(預かったファンのジャージー)に化学的処理を加えて新しい糸を作り出していること。「ケミカルリサイクル」という。なんという手間。作られたジャージーには当然、数に限りがあるため、代表の試合でこの素材が使われる期間は限られている。言い換えれば、すべて使い切る。ちなみにケミカルリサイクルされた素材が使用されているのは、ジャージーの前身頃の部分(段柄のあたり)だ。サイドや肩などは、通常のリサイクルを含む別の糸で編まれている。
素人考えながら、リサイクル素材でこの機能アップってすごくないか(いずれも2019年モデル比較)。いやケミカルだからこそなせる業なのか。