【コラム】ついに今日、デビュー! 新しい日本代表ジャージーは、見た目「少年系」、機能は成熟の一着
いつからか振り返ると、すごく失望した経験があったからだ。
2003年のオーストラリア大会、日本代表のフープ柄が、突然単色系に変わってしまった。目を疑った。はなやかだった赤はくすみ、白いラインが胸と腹に太く二本。えりは黒。パンツもソックスまで黒になってしまった。力強さを表すための差し色だと聞いたが、まったく納得いかなかった。
日本代表といえば赤白フープに白のパンツ&ソックスだろう。1930年のカナダ遠征からずっとだ。
ソックスになぜか入っていた二本線が、少年ぽくてよかった。よわっちく見えるという人がいる。その通りだ。普通の選手が着ると大人でもラグビースクールの子みたいになる。それを、平尾誠二や朽木英次、樽のような背中の薫田真広や、足首タックルの梶原宏之&中島修二やシナリ・ラトゥが着ると、すごく映えた(1989年スコットランド撃破を秩父宮で観た)。ある種の狂気や卓抜したクレバーさが、爽やか過ぎるジャージーで際立った。あのデザインは、個性のないチームには似合わない。
日本代表ジャージーから白を抜いて黒を加えたのが、スコットランド戦を監督として率いていた宿沢広朗さん(故人・元強化委員長)だったのは私にとって皮肉だった。着る人を選ばず強そうに見える。普通のジャージーになった。
失われた色が日本に戻ってきたのが、エディー・ジョーンズが率いた2015年のイングランド大会だ。干支が一周する間、味気なく映っていたジャージーが一気に変わった。元に戻った。ソックスも二本線こそなかったが、スリットのようなラインが入っただけの「ほぼ真っ白」のくつ下だ。白いパンツは、いい試合になるとめっちゃ汚れる。よく働く選手ほど汚れる。赤く染まることもある。帰ってきた段柄は、ブライトンのゴールラインを何度も越えた。南アを破った時、完全に赤白フープはラグビー日本のシンボルに戻った。
チームが個性的だと、ジャージーは魅力を増す。
さて、2023年大会開幕までは2か月を切った。