コラム 2023.07.15
【コラム】ついに今日、デビュー! 新しい日本代表ジャージーは、見た目「少年系」、機能は成熟の一着

【コラム】ついに今日、デビュー! 新しい日本代表ジャージーは、見た目「少年系」、機能は成熟の一着

[ 成見宏樹 ]

 いつからか振り返ると、すごく失望した経験があったからだ。

 2003年のオーストラリア大会、日本代表のフープ柄が、突然単色系に変わってしまった。目を疑った。はなやかだった赤はくすみ、白いラインが胸と腹に太く二本。えりは黒。パンツもソックスまで黒になってしまった。力強さを表すための差し色だと聞いたが、まったく納得いかなかった。

 日本代表といえば赤白フープに白のパンツ&ソックスだろう。1930年のカナダ遠征からずっとだ。

 ソックスになぜか入っていた二本線が、少年ぽくてよかった。よわっちく見えるという人がいる。その通りだ。普通の選手が着ると大人でもラグビースクールの子みたいになる。それを、平尾誠二や朽木英次、樽のような背中の薫田真広や、足首タックルの梶原宏之&中島修二やシナリ・ラトゥが着ると、すごく映えた(1989年スコットランド撃破を秩父宮で観た)。ある種の狂気や卓抜したクレバーさが、爽やか過ぎるジャージーで際立った。あのデザインは、個性のないチームには似合わない。

 日本代表ジャージーから白を抜いて黒を加えたのが、スコットランド戦を監督として率いていた宿沢広朗さん(故人・元強化委員長)だったのは私にとって皮肉だった。着る人を選ばず強そうに見える。普通のジャージーになった。

今回の発表会を盛り上げた「NEW JAPAN JERSEY-FIRST XV」。ファン8名は、1800の応募から選ばれた。日本代表からは5選手(松田力也、齋藤直人、姫野和樹、李承信、ワーナー ディアンズ)、ラグビー日本代表応援サポーター2023の浅野杏奈さん(前列左端)、東原亜希さんが選ばれた(撮影:松本かおり)
背面の肩口、パンツ、ソックスはほぼ真っ白に。番号の書体がかわいい(撮影:松本かおり)

2003年大会、日本は世界に賞賛もされ 歴史の一歩を刻んだ。中核の一人、栗原徹選手。ソックスとパンツは黒基調(撮影:BBM)

 失われた色が日本に戻ってきたのが、エディー・ジョーンズが率いた2015年のイングランド大会だ。干支が一周する間、味気なく映っていたジャージーが一気に変わった。元に戻った。ソックスも二本線こそなかったが、スリットのようなラインが入っただけの「ほぼ真っ白」のくつ下だ。白いパンツは、いい試合になるとめっちゃ汚れる。よく働く選手ほど汚れる。赤く染まることもある。帰ってきた段柄は、ブライトンのゴールラインを何度も越えた。南アを破った時、完全に赤白フープはラグビー日本のシンボルに戻った。

 チームが個性的だと、ジャージーは魅力を増す。

 さて、2023年大会開幕までは2か月を切った。

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