フランスラグビー徒然。Janvier(1月) コロナ禍で「FREXIT」の声も
フランスでは2度目のロックダウンは解除されたものの、1日の新規感染者数は約2万人と政府の目標の5千人にはまだ遠い。医療機関の逼迫した状態も続いており、現在フランス全土で18時以降の外出が禁止されている。飲食店、美術館、映画館、劇場や、屋内スポーツ施設も休業のまま。またスキー場も閉鎖されている。
この状況でトップ14の試合が、無観客ではあるものの、奇跡的に毎週おこなわれている。
さらに、イギリスや南アフリカで出現した変異株が国内に入ってきていることもあり、これらの規制が緩和されるのはまだ難しいと見られている。また、ワクチン接種キャンペーンも、他のヨーロッパの国々に後れをとり、政府に対する国民からの批判の声が止まない。
その批判に対して、ジャン・カステックス首相は、「ラグビーの試合が80分続くように、ワクチンのキャンペーンも数か月続く。試合は始まったばかりなのに、『だめだ、もう負けだ』なんて、誰にもわからないじゃないか」と、国民の理解を求めた。
9月にも、「このウイルスは予測不可能だ。ラグビーのようにステップをきってディフェンスをすり抜け、思わぬところに現れる」と、国民のウイルスへの注意を喚起するために発言している。
彼は熱烈なラグビーファンで、自身もプレーしていた。ラグビー地帯のフランス南西部の出身で、政治家には珍しく南西部の訛りのまま話す。就任時は雑誌『パリマッチ』で、「ラグビーの試合後の交流会で聞こえてくるような無骨な訛り」と批判され、話題になった。前任者のエドゥアール・フィリップは「彼の訛りが大好き。聞いているとヴァカンスに来ているような気分になる」と冗談交じりに楽しんでいた。確かに、カステックス首相が話すのを聞いていると、フランス南部の太陽の下で、どこかのラグビーチームの会長が話しているような気になる。