海外 2021.01.23
フランスラグビー徒然。Janvier(1月) コロナ禍で「FREXIT」の声も

フランスラグビー徒然。Janvier(1月) コロナ禍で「FREXIT」の声も

[ 福本美由紀 ]
一時中断となったヨーロピアン・チャンピオンズカップ(Photo: Getty Images)

【トップ14とヨーロピアン・チャンピオンズカップ】
「FREXIT」もトップ14は前倒し開催へ。

 1月11日、ヨーロピアン・チャンピオンズカップ(ハイネケン・チャンピオンズカップ)の一時的な中断が発表された。イギリスでのコロナウイルスの変異株の出現により急速に感染拡大しているなか、国境を越えて行き来することに、フランス政府が懸念を示したためである。しかし、その前から、フランスメディアは、フランスチームの大会ボイコットもあり得るのではと、「BREXIT」をもじって「FREXIT」の可能性を報じていた。
 
 事の始まりは、12月18日の第2節。ウエールズのスカーレッツに1名の陽性反応者が確認された。そのため、前週、スカーレッツと対戦したイングランドのバースの選手12名が濃厚接触者として隔離され、バースはその週のラ・ロシェル戦を棄権せざるを得なくなった。

 しかし、スカーレッツの試合はそのまま開催の方向で進行、対戦相手のトゥーロンは予定通り前日に現地入りしていた。

 試合当日の朝、試合会場のパーク・イ・スカーレッツ・スタジアムでキャプテンズランをおこなった際、すれ違ったスカーレッツの選手から、「ほとんどの選手が感染していて、試合に出るのはほぼBチームだ」と聞かされ、不信感を抱いた。選手間で話し合い、「感染を避けるための十分な対策が取られていない」ということを理由に、試合を拒否する旨をコラゾ ヘッドコーチとルメートル会長に伝えた。選手たちの意思は尊重され、試合をせずに帰国の飛行機に乗った(トゥーロンは、まだ感染者が出ていない数少ないチームのひとつである)。

 この事態が起きるまでに、ルメートル会長は、感染状況を把握しようと、大会主催団体のEPCRに「スカーレッツの選手はいつ感染したか、最終検査はいつ実施されたか。濃厚接触者は何名で、陽性反応者が出た場合は水曜日に両チームとEPCRでミーティングがおこなわれるよう定められているのに、なぜなかったのか」などと質問を投げかけていた。

 金曜日、試合当日にEPCRから出された回答は、「週の初めに検査をして陽性は1人だけだった。ウエールズ協会の医師と現地当局が検証した結果、大きなリスクはないと判断されたが、不安ならスカーレッツの選手を再検査してもいい。試合をしたくない選手がいるなら、代わりの選手をトゥーロンから呼び寄せてもいい。そのために試合を日曜日に延期してもいい」だった。結局、両者の間で合意は得られず、トゥーロンの不戦敗として、28-0でスカーレッツの勝利とされた。

 翌日の12月19日、チャンピオンズカップと並行しておこなわれているチャレンジカップで、バイヨンヌがイングランドのレスターをホームに迎えて対戦した。レスターに複数名の陽性反応者が確認されてはいたが、試合は予定通りおこなわれた。翌週、バイヨンヌの選手から8名の陽性反応、しかもイギリスの変異株に感染していることが確認された。

 バイヨンヌは選手・スタッフ全員隔離、トレーニング施設も2週間閉鎖された。その間に予定されていたトップ14の試合は、バイヨンヌにとっては残留のかかった大切な試合だったが延期に。チームは「EPCRの感染症対策はトップ14で実施されているものよりも柔軟であり、その一貫性と有効性に疑問を抱く」と声明を出した。

 この週は、イングランドのエクセターでも複数名の感染者が出たため、トゥールーズとの対戦を棄権、また、前週、エクセターと対戦したスコットランドのグラスゴーの選手20人が濃厚接触者として隔離され、グラスゴーもリヨン戦を棄権している。
 以後、エクセターは検査の頻度を週1回から週2回に増やしたという。

 トップ14の主催団体のLNRは、EPCRにヨーロピアンカップの感染対策をフランスで実施されているレベルに引き上げるように求めた。トップ14の規定では、PCR検査を週明けと、試合の72時間前におこなうことが定められているのに対して、ヨーロピアンカップの規定では、PCR検査は週明けのみ。これでは試合までの間に感染し、そのまま試合をして感染拡大につながるリスクが高くなるということだ。

 EPCRもその求めに応じて、試合の72時間前の検査を追加することを決めたところであったが、イギリスでの感染状況の著しい悪化を受け、フランス政府が、この大会に参加することは多大なリスクを伴うとして、イギリス、アイルランドでおこなわれる試合だけでなく、フランスで予定されている試合も含めて、1月は参加を見送るようにフランスの全クラブチームに求めた。やむなく、EPCRは大会の一時中断と、1月に予定されていた第3節、第4節の中止を正式に発表した。

 この試合の無くなった2週をすかさず利用して、トップ14は1月17日の週に延期になっていた4試合をおこない、翌週には3月20日に予定されていた第19節の試合を前倒しでおこなうことにした。
 なんとしてでも、シーズンを敢行しようという意欲が感じられる。

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