コラム 2020.10.22
【コラム】最後は信じて

【コラム】最後は信じて

[ 向 風見也 ]

 筑波大2年だった2013年6月、対ウェールズ代表2連戦を終えて。1戦目では自陣からのキックミスで失点を招いたが、2戦目では迷わずプレーするよう心がけて歴史的勝利に喜ぶ。当時のエディー・ジョーンズヘッドコーチからはこうも言われていたそう。「試合中に素早く(課題を)修正できるのが一流選手だ」

 大学の試合を観て回る社会人チームの採用担当者が、こんな旨で漏らした。

「選手の人間性は、観察しなくてはならない」

 苦しい時にどんな態度をとるか。

 周りに人がいない時に仲間へどんな声をかけるか。

 選手としての技能以外に重視されるかような資質は、本人との直接の対話よりも「観察」によって見抜くという意味だろう。たしかにスカウトする側とスカウトされる側という関係上、採用担当者に話しかけられた選手が本性をさらけ出すかはわからない。

 そして、筆者を含めた報道関係者が選手を取材する際も、きっと同じ構造が成立する。

 今後もその点を留意し、かつ目の前の人の目、声に触れ、最後は信頼して、発信したい。

【筆者プロフィール】向 風見也( むかい ふみや )
1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライターとなり、主にラグビーに関するリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「スポルティーバ」「スポーツナビ」「ラグビーリパブリック」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)。『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(共著/双葉社)。『サンウルブズの挑戦』(双葉社)。

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