【コラム】最後は信じて
帝京大主将時代のインタビューにて。「アタックでは、自分にボールを放ってくれたら何とかするっていう気持ちがあります。相手の守備がこうだったらこういう動きをしよう、とかいうイメージは頭の中には結構あるので」。人の思いを背負って前に進もうとする当時の心は、日本大会で控え組をコーヒーへ誘ってモチベーションを保つ姿と重なる。当時は対戦相手との力関係も反映されてか、パワフルな突破を繰り返していた印象。しかし当の本人は、「自分ではガツガツ突き進んでいくというより、相手をうまく避けていっているイメージなんです。周りからは『そんなことない(そう見えない)やんけ』って言われますけど」とのことだ。
「自分の言葉の足りなさを気づいた、この1年だったと思います。皆の心に火をつける言葉というのをどう自分に採り入れたらいいかを考えさせていただいた。日本一に向けて、もう一度チームを本気にさせる言葉、行動を示していきたいと思います」(坂手淳史)
2016年1月某日、帝京大の主将として臨む大学選手権決勝を前に。言葉選びで誰を参考にしているかを聞かれると、こうも続けた。「1年生の頃から、3人の素晴らしい主将の下でプレーをさせていただいて、その3人の言葉が自分のなかに強く残っていた。それで、監督に指摘されたのが『コピー』『真似事』と。3人の言葉というのをそのまま伝えている、そこに自分の気持ち、気迫を乗せられていない、形だけの言葉になることが多くて。そこを自分の言葉にする、気を乗せるということをしないと、周りには入ってこない」。実際に自分が話した言葉やその時々の状況を振り返るなか、本気のメッセージを伝えるスキルを磨いていた。
「皆、食事の部分でも意識している。アップの前にもストレッチをたくさんしていて。水も、めちゃ飲んでいる。自分も水を結構、飲んでいて。それで、去年よりもいいコンディションで試合ができるようになっています」(具智元)