日本代表 2025.09.09

アメリカ戦で日本代表デビューの奥井章仁。「練習は、いっぱいしました」

[ 向 風見也 ]
アメリカ戦で日本代表デビューの奥井章仁。「練習は、いっぱいしました」
待望の初キャップをつかんだ奥井章仁(©︎JRFU)

 ラグビー日本代表の奥井章仁がテストマッチデビューを飾った。

 遠征先のカリフォルニア州サクラメントで現地時間9月6日、パシフィック・ネーションズカップのアメリカ代表戦に途中出場した。40-14とリードの後半27分、持ち場のオープンサイドFLへ入った。

 得意のタックルを攻守逆転に繋げ、30分のトライを引き出した。「(出番が)何分でも自分のプレーを。数少ないチャンスをどうものにできるかを大切に」とフィールドに立ち、「感触は良かった」。47-21で勝った。

「家族が犠牲を払ってくれて、他にも色んな人のサポートがあって、自分はいまここに立てている」

 思い浮かべるのは「家族」の存在。両親、陸上競技をする姉、祖父母に言及した。

「ラグビーのスパイクなど欲しいものが増えていくなか、文句を言わずに買い物に付き合ってくれた。高校3年生の時に食事にこだわってきたんですけど、そのこともサポートしてもらった。ひとつ上のお姉ちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんも僕のことを助けてくれました」

 大阪府出身。小学1年で地元の枚方ラグビースクールへ加わった。楠葉中を経て入学の大阪桐蔭高では、2年時に高校日本一に輝いた。3年目は主将を務めた。

 さらに帝京大では、2年目から副将だったラストイヤーまでに大学選手権V3を達成した(通算12回目の日本一。連覇は現在も更新中)。

 勝つ組織の主軸であり続けた23歳は、現在リーグワンのトヨタヴェルブリッツに在籍する。ステージを変えてもなお持ち味を発揮し、現在の地位に到達した。

 キャリアを積むほどに考えるのは、「僕みたいなサイズの日本人が代表で頑張り続けることで、僕以外も勇気づけられる」。身長190センチ前後の海外選手がひしめくナショナルチームのFW第3列にあって、身長178センチ、体重105キロで爪痕を残す。激しい防御、接点周りでの技巧や判断で光る。

「誰よりもハードワークしてチームのために身体を張って、痛いところ、しんどいところに頭を突っ込んでいくことが好きで、僕にも合っている。そこで頑張っていきたい。僕にしかないものを出していきたい」

 トップレベルの環境でひとかどの人物となるまでは、「質より量をやるタイプ」。母校の帝京大が誇る猛鍛錬、充実のトレーニング施設のことを思い出しながらだろう。がむしゃらに「土台」を築いた日々について語る。

「練習は、いっぱいしました。アタック、ディフェンスとも。食事もこだわりましたし、ウェイトもFWのなかで一番(重量を)持てるようになりたかった。それによって土台が固まってきて、いまはタックルやブレイクダウンの質についてどんどん学んでいます」

 現地時間14日、大会準決勝に臨む。パワーに定評のあるトンガ代表を迎えるにあたり、「相手がフィジカルを出す手前で、プレッシャーをかけていきたい」。プレータイムをもらえたら、衝突局面で先手を取る。

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