恒例!リーグワン時評座談会[プレーオフ直前編]いよいよポストシーズン。勝ち抜くのはどこか。【ラグビーマガジン6月号・再録】
中盤〜終盤戦を振り返り、上位勢の状況と印象に残ったチーム・選手を総チェック!
レギュラーシーズンの最終盤を迎えたリーグワン。4月に入ってプレーオフ進出チームが続々と決まり、トップ4の顔ぶれも固まりつつある。首位を快走するワイルドナイツに死角はあるのか。追走者たちの現状は。日々現場で取材を続けている記者3人に、中盤戦から終盤戦の戦いを振り返りながらノックアウトステージを展望してもらった。
※4月25日発売のラグビーマガジン6月号に掲載の記事を再録。座談会は4月第2週末の第13節終了時点で実施。文中の各成績は第13節終了時点。選手・コーチの人名は敬称略。
ワイルドナイツ、盤石。一発勝負ならブレイブルーパスにもチャンスあり!?
――今回のテーマはディビジョン1の中盤戦〜第13節までを振り返ってのプレーオフ展望です。まず上位陣の印象から聞かせてください。
向「連戦でどのチームにもケガ人が出ている中、出来幅が変わらないチームが上位にいると感じます。ワイルドナイツはLOルード・デヤハーやPR稲垣啓太が欠場していても、しっかり勝利を取れている。ブレイブルーパスもNO8リーチ マイケルが抜けたのにプレーの質が落ちていない。サンゴリアスもイーグルスもそうですよね」
谷口「上位のチームは選手層が厚い。その中でもワイルドナイツの安定感は際立っているし、例年以上に今季はレギュラーシーズンでの強さを感じます。去年の悔しさもあると思いますが、内容に隙が見当たりません。スタッツを見てもほとんどの数値がトップです」
野村「リザーブにいるHO堀江翔太やSH内田啓介ら、試合を締められるベテランの存在も大きいですよね。他のチームは若返りが進んでいるけど、ワイルドナイツは歴戦の強者たちがひとつの鍵になっている。勝った経験がある人だからこそわかる戦い方を、サンゴリアス戦(第7節/24-20)で感じました」
谷口「今年のワイルドナイツを見ていて思うのは、近場のアタックのうまさです。スタッツを見ると、パスの本数が上位陣の中では一番少ない。なぜ少ないかというと、今季はディフェンスで外に人数をかけてプレッシャーをかけにくるチームが多く、そうなると当然内側が薄くなる。ワイルドナイツはそこを突いてきているように感じます。もちろんそこで前に出られる強さがあるからできることですが、元々ワイルドナイツはそういうディフェンスをしてきたから、逆にどこが攻めやすいのかもわかるのかもしれません」
野村「クロスボーダーのチーフス戦を見て思ったのですが、FLラクラン・ボーシェーにしてもCTBダミアン・デアレンデにしても、トップレベルの人たちが献身的に役割を果たしているのがすごい。CTBディラン・ライリーも、ワールドカップ時は調子を落としていた印象ですが、デアレンデに引っ張られてどんどんよくなってきた。あの両CTBが盤石だから、攻守とも隙がないのかなと思います」
向「FL福井翔大がいっていたのですが、ワイルドナイツは全選手がチームのシステムをリスペクトしている。だからうまくいかない時もこれをやれば大丈夫、というものがある。それがないと、誰かが勝手なことをし始める、と」
谷口「選手起用も、うまく選手を休ませながらやり繰りしていますよね。ロビー、ディーンズヘッドコーチ(HC)は『ローテーションではなく、スコッド全体のマネジメント』といっていますが、そうすることで若手も育つし、ケガ人が出た時もガクッと戦力が落ちない」
野村「以前飯島均GMから聞いたのですが、ワイルドナイツは他のチームより全体練習の強度が低いそうなんです。もちろん強度を上げてやることで得られるものもあるんだけど、マイナス面もあると」
――前半戦でちょっと飛ばしすぎではないかという声もありましたが、その影響は感じますか。
谷口「今の段階では感じません。プレーオフに入った時にどうかという懸念はありますが、それだけ休養を意識していたら大丈夫なのかもしれない。他のチームもかなり飛ばしていますし」