恒例!リーグワン時評座談会[プレーオフ直前編]いよいよポストシーズン。勝ち抜くのはどこか。【ラグビーマガジン6月号・再録】
中盤〜終盤戦を振り返り、上位勢の状況と印象に残ったチーム・選手を総チェック!
ダイナボアーズさらに躍進。レヴズは強みを尖らせる
――スティーラーズは要所で大事なゲームを落としたのが痛かった。
向「デイブ・レニーがHCになって、役割が明確化されたということを複数の選手がいっていました。ディフェンスが去年からはるかによくなったし、アタックは元々すごい」
谷口「去年より相当良くなったと思います。ラインブレイク数はワイルドナイツに次ぐ 2番目。NO8アーディ・サベアがいるし、CTBナニ・ラウマペも効いている。ただ、セットプレーが安定しない。そこはまだ手が回ってないんでしょう」
向「レニーさんも、改善すべき点がたくさんあって、ちょっとずつよくなっているけれど時間はかかる、と。それでもトップ4に迫るところまできたのはさすがだと感じますが」
野村「神戸は元々スクラムがよかったのに、ベテラン勢が引退したらその強みを継承できなかった。それが今になって響いているのかもしれません」
――ただ、スティーラーズが強いとリーグが盛り上がる。
谷口「ブレイブルーパス戦(第13節/40-40)も、ビジターゲームでしたが盛り上がりました。秩父宮で神戸コールが沸き起こりましたから」
――中位以下で印象に残ったチームを教えてください。
向「ダイナボアーズ。メチャクチャ鍛えてきたチームに、ブレイブルーパスのアタックを向上させたジョー・マドックがアシスタントコーチで入って、またよくなった」
谷口「1年であれほどモデルチェンジできるのも珍しいですよね。去年までは攻め込んだところでなかなか取りきれなかったけど、今年はアタックが本当におもしろい。グレン・ディレーニーHCが開幕前に『マドックの加入が最大の補強』といっていましたが、本当にそうだったなと」
向「マドックも、やはり選手が『自分の役割を明確にしてくれるのでわかりやすい』といっていました」
谷口「そのぶんディフェンスに割く時間が少なくなって、トライを取られやすくなったところもあるけど、両方いっぺんにやるのは難しいので仕方ないところもある。いまや完全にD1に定着したと感じます」
――やることが明確といえば、ブルーレヴズもまさにそんなチーム。
谷口「ヴェルブリッツ戦(第11節/24-8)の後、藤井雄一郎監督が『これをやると決めたことをできるチームになってきた』といっていました。あの試合は外に人を配置する相手ディフェンスに対し、内側を突いてトライを重ねた。そのへんの徹底がさすがだなと思いました」
野村「藤井さんはサニックスの監督の時からそうですが、選手の長所をかけ合わせるやり方で、ブルーレヴズのようなチームにはすごく合っているなと感じます。強みを徹底的に尖らせていくから、見ていておもしろい。そういう徹底ができるコーチは、そうはいません」
向「ウチにはこれはできるけどこれはちょっと、という選手がたくさんいて、いいところをつなぎ合わせている、と藤井さんはいっていました」
野村「岡﨑航大をSHにしたのもそうですよね。リソースを使い切るのがうまい」
――昨季優勝のスピアーズは、一転して苦しい戦いになりました。
谷口「HOマルコム・マークスとSOバーナード・フォーリーが抜けたのは相当痛かったと思います。ただ、ここまで沈むとは予想していませんでした。マークスの存在がこんなに大きかったんだと、あらためて感じました。セットプレーの安定感がまったく違う」
野村「メンバーを見ると、全然悪くないんですけどね。マークス不在がとにかく痛かった」
谷口「SHにもケガ人が続出して」
向「ただ大学生のリクルートはここ数年成功しているので、来年、再来年はよくなると思います」