セブンズ 2021.08.12
【東京五輪総括】 7人制日本代表ヘッドコーチの岩渕氏とマキリ氏、本城ディレクターは退任

【東京五輪総括】 7人制日本代表ヘッドコーチの岩渕氏とマキリ氏、本城ディレクターは退任

[ 編集部 ]
東京五輪初戦で王者フィジーに挑んだ男子日本(Photo: Mike Lee – KLC fotos for World Rugby)

 男子セブンズ日本代表を率いた岩渕氏は、「前向きな結果が出せず、本当にも申し訳なく思っている」と言った。日本ラグビー協会の専務理事も兼任するという激務だったが、東京オリンピックを11位で終えた結果について本人は、「兼任していたからどうということではなく、ヘッドコーチとしての力がなかったということだと思っている。選手・スタッフはとにかく、ホントに勝たなきゃいけないところまで持って行ってくれて、それをうまく勝たせられなかった。ひとえにヘッドコーチとしての力量の問題だと思っている」と責任を認めた。

 前回のリオデジャネイロ大会で男子日本代表は4位となり、東京ではメダル獲得が期待された。当然、岩渕ヘッドコーチは緻密に周到な準備をして大会に臨んだ。
 しかし、初戦ではディフェンディングチャンピオンのフィジーを相手に奮闘して勝利を手にする流れを作ったものの、ミスから逆転負けを喫した。2戦目のイギリス戦は、キックオフでコンテストに競り勝ちながらも、不運にもそのボールを手にすることができず、立ち上がりの悪さが大敗につながった。
「7人制のなかで、ナイーブさ、繊細さというのがゲームのなかで出てくるときに、チームをどうやって立て直すかというのがひとつの大きなカギだった。その部分を、特に1戦目、2戦目は、いい形でパフォーマンスさせることができなかった。そこに大きな責任を感じている」(岩渕氏)

 コロナの影響でさまざまな混乱が生じる前は、強化は順調だった。しかし、2020年3月からワールドシリーズなどの国際大会ができないような状況となり、保守的になってしまったと岩渕氏は反省する。

「この1年半の国際大会ができないような状況になってから、コロナ禍において、陽性者を出さないで活動することを優先しながら強化を進めてきたが、もともと男子の実力を考えると、保守的な戦い方、あるいは保守的な強化の仕方ではなかなか結果を出せないのは過去の力関係からもはっきりとしていた。しかし、そこで思い切った強化戦略を私自身がヘッドコーチとして出すことができなかったというのが、自分自身の反省として、責任として強く感じている。1年延びた期間を逆に有効に使うのが我々の仕事だったと思うが、その仕事が十分できなかった。保守的になってしまって、十分その時間をうまく使うことができなかった。これは非常に結果に大きく影響してしまったなと強く感じている」

 地力をつけるべく強化をしてきたが、この1年半の間に地力をつけるような取り組みをゲーム形式のなかでするのが非常に難しい状況になった。本番と同じようなプレッシャーをかけるような練習にも取り組んできたし、選手たちも努力をした。が、本番と同様のプレッシャーがあってそのなかで自分たちが判断をしていく、あるいはベンチの方から判断をしていく、そういったことがオリンピックの大切な舞台でうまく機能させることができなかった。
「ひとえに私の責任だと思っている」
 岩渕氏は何度もそう言った。
「強化の担当者として、どちらかといえば積極的に強気にいろんな強化を進めてきたと自分自身は考えているが、ヘッドコーチとしての現場での最終的な決断のところ、試合のなかでの決断のところで積極的にいけなかった。そこの判断のところが非常に鈍ってしまったというのがあったと思う。試合のなかで選手交代や戦術だったりとかをどうやって伝えて、選手がうまく機能しないときにどうやって助けるかというのが大きなポイントだったと思うが、そこの部分がうまく判断できなかった。いい形で決断ができなかったというのは、ひとえに私のところの問題だと強く思っている」

 もっと革新的にチャレンジしなければ勝てない。オリンピックはそういう舞台だった。

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