【東京五輪総括】 7人制日本代表ヘッドコーチの岩渕氏とマキリ氏、本城ディレクターは退任
2020年に開催予定だった東京オリンピックは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により1年延期となった。この影響について本城ディレクターは、正直なところとして、日本は厳しい結果に向いたと思うと語る。
「男女とも現場は知恵を絞り、工夫をして実戦経験の機会も作ったが、ただでさえ国際経験が厳しい我々にとって、本番に向けてベストなパフォーマンスを発揮するコンディショニングは難しかった。男子が最後に戦った国際大会は、2020年3月。女子は2020年2月。男女ともその後予定されていた昇格大会、いくつかのワールドシリーズを経てオリンピックに臨んでいたとしたら、結果は少し違うものになっていたのかなと素直に思う」
この5年間、地力を上げることに取り組んできた。地力を上げるための取り組みのひとつは、極めてシンプルだが、代表チームの活動日数を増やすこと。男子は、この5年間の年間平均活動日数は、リオオリンピック前を42日上回る164日で、2019年は232日を数えた。強化拠点の整備も進んだ。
もうひとつの取り組みは、セブンズの専門性が高まっていくなか、セブンズ専任でプレーする選手を増やすこと。2020年12月に発表した第3次オリンピックスコッド20名に照らし合わせてみると、2017年は7名、2018年は11名、2019年は13名がほぼ専任。2020年、2021年は20名が専任でプレーした。7名が5年間ほぼ専任でプレーしたことになる。専任化にあたっては、所属チームとの契約、また選手との直接契約も含めた制度を導入した。専任化の推進、制度の導入の目的は、オリンピックまでの4年間、早いタイミングからある程度メンバーを固定して強化することにあった。
しかし、4年間継続して強化できたかどうかは議論する必要がある。
専任化の推進について、本城氏は「諸刃の剣であることも認識しておかなければならない」と言った。なぜなら、選手にセブンズをプレーするか、15人制をプレーするか、早い段階で決断を迫ることになるため、結果として代表チームの水準が下がってしまう危険性もあるからだ。
「選手の立場からすると、15人制日本代表も目指したいし、自分の所属チームでもプレーしたいというのは当然のことであり、自然な流れだと思う。そのなかで、4年間セブンズで専任でプレーするというのは大きな決断になる」
日本には、日常的にセブンズをプレーする環境がないのも問題であり、セブンズ自体の価値・魅力・ステータスを上げていく取り組みをしていかないと、なかなか選手に選んでもらえる存在にはなっていかないと思うと本城氏は言う。
「オリンピックでメダル獲得を目指す選手を増やすために、セブンズの魅力、価値の発信は避けて通ることはできない。十分な検討がなされるタイミングに来ていると感じる。ただ、選手のポテンシャルを悲観することはない。パリへ向けても、メダル獲得の旗を降ろさずにチャレンジしていってほしい」