セブンズ 2021.06.22

母国トンガのジャージーに変えた元NZ代表フェキトア 次のW杯で日本の難敵になる可能性も

[ 編集部 ]
母国トンガのジャージーに変えた元NZ代表フェキトア 次のW杯で日本の難敵になる可能性も
7人制トンガ代表として東京五輪最終予選のメキシコ戦で奮闘するマラカイ・フェキトア(Photo: Getty Images)


 7人制ラグビーの東京オリンピック最終予選が先週末にモナコで開催され、最後の枠をかけた熱闘が繰り広げられた。男子はアイルランド代表が歓喜する結果となったが、敗退したチームのなかに注目を集めたスターがいた。
 トンガ代表のキャプテンを務めたマラカイ・フェキトアだ。
 かつては黒衣が似合った男。ニュージーランド代表“オールブラックス”のセンターとして24キャップを重ね、2015年のワールドカップにも出場して世界一に輝いた。ハイランダーズファンにとっては、同年のスーパーラグビー初制覇にも貢献したヒーローである。

2015年W杯にNZ代表として出場し、ジョージア戦でトライを挙げたマラカイ・フェキトア(Photo: Getty Images)

 2017年にオールブラックスでのキャリアを終えたあと、ヨーロッパに渡ってフランス(トゥーロン)やイングランド(ワスプス)でも充実したラグビーライフを送ってきたフェキトアだが、叶えたい夢がまだあった。トンガのハアパイ島で生まれた29歳は、母国の代表としてプレーしたいと思っていた。

 ワールドラグビーの規定には、「一国のシニアの15人制チーム、またはそのすぐ下のシニアの15人制代表チーム、もしくは、シニアの7人制代表チームでプレーしたプレーヤーは、他の協会のシニアの15人制代表チーム、または、そのすぐ下のシニアの15人制代表チーム、もしくは、シニアの7人制代表チームでプレーすることはできない」とある。しかし、2016年のリオデジャネイロ大会から7人制ラグビーがオリンピックの正式競技として採用されたことで、ワールドラグビーは規定の一部を変更。選手が別の国または協会の国籍を持っている場合、いくつかの条件を前提として、新たな国または協会の代表としてオリンピックイベントに参加することを申請できるようになった。

 フェキトアはトンガ国籍を持ち、ニュージーランド代表で最後にプレーしたのが2017年7月8日のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズであるため、「前代表で最後にプレーした時点から3年以上経過」という条件をクリア。その他についても規定委員会によりオリンピック資格基準の条件を満たしていると判断され、東京オリンピック最終予選にトンガ代表として参加することが認められた。

 フェキトアはこれにより、15人制トンガ代表への道も開かれたことになる。

 過去には、元7人制ニュージーランド代表だったティム・ナナイウィリアムズが両親の故郷であるサモアの代表になることが認められ、元オーストラリア代表のクーパー・ヴナも同じようにオリンピックイベントを通じてトンガ代表となり、2人とも2019年のワールドカップに出場している。

 なお、今回の東京オリンピック最終予選に7人制トンガ代表として参加した選手には、フェキトアのほか、元オーストラリア代表FWのロペティ・ティマニもいた。

 2023年のワールドカップ・フランス大会では、日本代表はイングランド代表、アルゼンチン代表と一緒のタフなプールDに入り、「オセアニア 1」、「アメリカ 2」とも同組で戦うことになっている。オセアニア予選はトンガ代表が制する可能性があり、そのメンバーにフェキトアらが入ってくればかなり手ごわい存在になる。

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