欧州4強激突へ… 英国型変異ウイルスの影響受けるボルドー、トゥールーズはけが人続出。
「一寸先は闇」とは昔から言うが、この1年はこれまでよりも、さらにこの言葉に行き当たる場面が多くなった。
ヨーロッパの最強クラブを決めるハイネケン・チャンピオンズカップは、5月1日、2日に準決勝2試合がおこなわれる。優勝争いに残った4チーム中3チームがフランスのクラブとなったが、今も新型コロナウイルスが色濃く影を落としている。
4月11日のチャンピオンズカップ準々決勝で、83分にマチュー・ジャリベールの逆転PGでラシン92を降し、初の準決勝進出を決めたボルドーは、その2日後のPCR検査でコロナウイルス陽性者が確認された。ボルドーは5月1日にトゥールーズと対戦するが、準々決勝から2週間、試合はもちろん練習すらできていない状態だ。
ボルドーだけでなく、トゥーロン、ブリーヴでも陽性者を確認、ボルドーと対戦したラシン92は濃厚接触と判断され、フランス国内リーグ・トップ14の21節の7試合中4試合が延期となった。翌週もボルドー、トゥーロン、ブリーヴで引き続き感染者が発生。カストルでも新たに陽性の選手が出て、4試合が延期された。
ここ数か月、予定通りに試合がおこなわれ、また延期された試合も全て消化できていたトップ14だが、ここにきて再び先が読めなくなってきた。プレーオフまで日数が残り少なく、ボルドー以外のチームはチャンピオンズカップがおこなわれる週末に消化できるが、ボルドーは平日にも1試合組み込まれ、8日間に3試合という過酷なスケジュールになっている。
名将で知られるボルドーのクリストフ・ユリオスHC(ヘッドコーチ)。過去にはオヨナを2部リーグからトップ14に昇格させ、翌年には誰も予想しなかったプレーオフ進出を成し遂げている。カストル時代はリーグ戦6位通過でプレーオフ進出、決勝トーナメントでトゥールーズ、ラシン92、モンペリエを次々と破り優勝させた人物だ。今回ばかりは頭を抱えるが、「今は耐え忍ぶしかないが、まだまだ闘う。このチームにふさわしいシーズンの締めくくりをしてみせる」と発言している。
チームは4月26日の検査で、ようやく全員が陰性になった。しかし、イギリス型変異ウイルスに感染した選手は10日間隔離されなければならず、先週後半から感染した8人の選手は、今週末のトゥールーズとのチャンピオンズカップ準決勝には出られない。
ボルドーのロマン・マルティ会長も「イギリス変異種は感染力が強い。しかも数人の選手は急速に容態が悪化した」と言いつつも、「今週末の準決勝、トゥールーズが極めて有利なのはわかっている。うちはこの上なく準備できていないのだから。それでも中止にはならないでほしい」と祈る思いでいる。