コラム 2020.08.27
【コラム】大きな可能性と、まだ、小さな声。

【コラム】大きな可能性と、まだ、小さな声。

[ 向 風見也 ]
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 なかでもハイパフォーマンスハブ・コーチング部門長の今田圭太は、おもに「目標設定」というセッションを担当した。

 プロ野球の横浜DeNAベイスターズなどでも同様のテーマで話をする今田は、2日間を通して「質の高い目標を建てれば質の高い行動ができる」「いい目標を立てるポイントは、(その目標が)具体的で、自分にとってわくわく感があるかどうか」と訴求。さらには「なぜ目標設定が必要か」などの議題を掲げ、会議アプリの機能によって少人数でのグループトークを促した。

野澤がキャンプ全体の目標に「自分の言葉でアウトプットできるようになる」を掲げていたとあって、短時間でのグループトークは今田が担当しないセッションでも頻繁にあった。話しているうちに制限時間が過ぎてしまった選手へ、水間が「時間は有限だからね」と優しく諭す一幕もあった。

 議論の質が戦術理解度やチーム文化を支えている例は、結果を出す複数のチームから見ることができる。

 大学選手権で9連覇を果たした帝京大は、練習の合間に3人1組でインプットとアウトプットを繰り返すショートミーティングを採用。昨秋のワールドカップ日本大会で初の8強入りを果たした日本代表も、大会直前の宮崎合宿中に開いたミーティングで首脳陣、リーダー陣、各選手の役割を明確に定義づけていた。当時の日本代表のリーダーズグループには、学生王者だった時期の帝京大で主軸を張ったメンバーが複数、揃っていた。

 何より、建設的に物事を進める技能は、ラグビー以外の場でも重宝される。今度のBFキャンプに参加した80名は、強いチームの一員として成果を残すスキルを予習できたとも、社会人の欲する力をOJTで学べたとも言えよう。

 それぞれのグループトークの活気にばらつきがあったの、また事実だ。他愛もない質問で話を盛り上げられる選手がいるグループがある一方、設定された時間をほぼ無言で過ごすグループもあった。

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