コラム
2020.08.06
【コラム】 あなたがいたから
【キーワード】サンウルブズ
あれから4年半。様々な国の出身者によって構成された狼軍団は、数々のかけがえのないレガシーと忘れがたい記憶を残して、5シーズンに渡るスーパーラグビーでの歴史を終えた。この7月、「MEMORIES OF SUNWOLVES/サンウルブズを忘れない」(ベースボール・マガジン社)の編集作業でその足跡を振り返る機会があり、このチームの果たした役割がいかに大きく貴重であったかを、あらためて痛感した。
サンウルブズがスーパーラグビーに参入する2016年以前、日本選手が世界トップレベルの戦いを経験できる機会は、ごく一部の海外クラブ所属組を除けば年に数試合のテストマッチしかなかった。ニュージーランドや南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチンの代表を争う名手や猛者たちと毎週のように身体を当てられる環境がどれほど選手たちを成長させたかは、いまさら記すまでもないだろう。クイックな展開と緻密な連係、低さや鋭さといった日本ラグビーの持ち味が、国際的強豪に対しても確かな強みとなることも確信できた。
オールブラックもスプリングボクもワラビーもプーマも、別世界の住人ではない。ちゃんとタックルすればちゃんと倒れるし、こちらのペースで攻めればトライを取れる。わずかでも準備を怠れば叩きのめされる過酷なリーグの闘争の中で体内に刻まれた実感は、昨秋のラグビーワールドカップにおける日本代表の躍進の大きな要因だった。