けがに泣いた天才的BKミルナースカッダー、フランスから母国NZに戻りハイランダーズ入団
驚異的なステップで観客を魅了し、ニュージーランド代表“オールブラックス”のWTBとして2015年のワールドカップ優勝に大きく貢献したことでも知られるネヘ・ミルナースカッダーが、3年契約を結んでいたトゥーロン(フランス)を1シーズンで退団し、母国のラグビー界に復帰する。
ニュージーランドは新型コロナウイルスの感染拡大を阻止して警戒レベルを下げ、6月13日にラグビーを再開することを決定。国内大会『スーパーラグビー アオテアロア』の開幕1か月前となる5月13日、ハイランダーズがミルナースカッダーの入団を発表した。
フランスへ旅立つ前はハリケーンズに在籍していたミルナースカッダーに対し、古巣もオファーをしていたが、けがからの復活を目指す29歳は、ニュージーランド南島のダニーデンを拠点とする新たなチームを選んだ。
2015年のワールドカップで6トライを挙げるなど活躍して栄冠に輝き、ワールドラグビーの年間最優秀新人賞(ブレイクスルー・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー賞)を受賞したミルナースカッダー。しかし、翌年から毎年のように肩の負傷で苦しみ、オールブラックスでのキャップ数は13と、彼の能力からすれば多くはない。テストマッチ13試合目となった2018年11月3日の日本代表戦(東京・味の素スタジアム)でも左肩を負傷し、2019年ワールドカップのスコッドには入ることができなかった。
新天地に選んだフランスで復活が期待されたが、肩の回復に時間がかかり、新型コロナウイルスの影響により同国内リーグはシーズン途中で中止が決定、欧州大会も中断したままで、結局トゥーロンでは1試合も出場できず、悔しさを胸に退団した。
しかし、世界屈指のラインブレイカーと呼ばれたミルナースカッダーの実力を信じるハイランダーズと2021年シーズン末までの契約を締結し、再び母国のラグビー界で挑戦することになった。
ハイランダーズによれば、ミルナースカッダーは来週月曜日にチームに加わり、フィールド復帰へ向けてしばらくはリハビリを続けるという。ロジャー・クラークCEOは、「ハイランダーズファミリーにネヘを迎えられることを嬉しく思う。彼の能力とプロ意識の高さはチームに大きな価値を加えるだろう」とコメント。アーロン・メイジャー ヘッドコーチも、ミルナースカッダーのプレースタイルはハイランダーズに合っていると期待しており、主力選手のSHアーロン・スミスやCTBロブ・トンプソンがマナワツ(地方代表)のチームメイトであることもミルナースカッダーにとっては大きいに違いない。
本人は「ダニーデンに移るのが本当に楽しみ。この新しい機会に興奮し、ハイランダーズの仲間たちと一緒にプレーするのが待ちきれない」と奮起する。
ニュージーランドラグビー協会は海外を拠点とする選手をナショナルチームには選ばない方針をとっているが、ミルナースカッダーは帰国したことで、オールブラックス復帰へ挑戦する道も開かれたことになる。