国内 2020.05.14

SNSで若き才能の未来を築け。『#ラグビーを止めるな2020』プロジェクトを広げよう

[ 編集部 ]
SNSで若き才能の未来を築け。『#ラグビーを止めるな2020』プロジェクトを広げよう
2019年にTIDキャンプに参加した宇部高校の中山覚富は、今春筑波大に進学しプレーを続ける。(撮影/松本かおり)



 いろいろなスポーツが同じ悩みを抱えているようだ。
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、多くのスポーツイベントが中止や延期に追い込まれている。
 積み上げてきた努力を披露する場所を奪われた選手たち。中でも、学生スポーツのカテゴリーで汗を流す若者たちが気の毒だ。特に高校3年生たちは、最終学年に仲間とともに持てる力を出し切ろうと思っていたのに、その思いが叶えられない。

 学生スポーツへの影響は、それだけではない。
 例えば高校3年生にとって、初夏の各地区大会(関東高校大会)などは、自分の存在をアピールする場だった。
 大学ラグビーの舞台で活躍する夢を持つ選手たちが、縁を求めて各会場に足を運ぶ各大学の指導者やリクルーターの目の前でハツラツとしたプレーを披露し、それがきっかけとなり道が開く。そんな光景が春の全国選抜大会や各地区大会などが中止になり、今季はない。選手にとっても、大学側にとっても不幸な現実だ。

 日本ラクビー協会のタレント発掘活動の中心人物のひとり、野澤武史さんも、この状況に危機感を抱いている。
 トップレベルの中のトップ級の選手たちは、すでに存在を知られている。強豪大学との関係構築も難しくないだろう。
 一方で、県大会のベスト4に入るレベルの高校の好素材や、あまり強くないチームで光る選手と、そういう素材を探し、鍛える大学チームがなかなかつながらない。

 野澤さんは『ビッグマン、ファストマン』キャンプを開催するなど、一芸に秀でた選手たちが全国にいることを知っている。
 だから、いま、「こうした状況下で、高校3年生が自身のプレーをアピールし、次のステージでもラグビーを継続できる場を作ることが大事だと思っています。各大学やトップリーグのリクルーターが全国の有能な選手のプレーを目にする機会を増やすことは、日本ラグビーの発展に貢献するもの」と話す。

 現状を打破するために野澤氏が起こすアクションが『#ラグビーを止めるな2020 プロジェクト』だ。SNSを利用することで、若き才能と未来のチームをつながることを願う。
 それぞれの立場の人たちが、それぞれのアクションをすることで、埋もれていた存在が表に出る。見てくれる人たちが現れる。その先のストーリーが生まれる可能性が出てくる。

 例えば、こんな流れだ。
①高校3年生のプレー動画集を作成する。
②「#ラグビーを止めるな2020」をつけてTwitter上にその動画をアップする。
③ このプロジェクトの理念に賛同する現役選手、大学関係者、メディア(ジャーナリスト、ライター他)がその動画をリツイートする(すでに廣瀬俊朗さんをはじめ、多くの現役選手も賛同している)。

 野澤さんは、「こうやって、可能性を秘めた選手たちのプレーが多くのリクルーターの目に止まるといいですね。また、同じ課題を抱える競技に広がってスポーツ全体の動きになっていくことを目指しています。一人でも多くのアスリートのキャリアが繋がることを願っています。」と話す。
 多くの賛同者が広く拡散してくれることが、大きなエナジーとなる。

 なお、ラグビー界同様に、バスケットボール界ではバスケットボール専門メディア『バスケットボールキング』(運営:株式会社フロムワン)が支援を開始する。「#バスケを止めるな2020」をつけた動画の拡散への協力や、様々なアプローチでキャリアを切り拓いた選手へのインタビュー記事などを掲載し、同じく競技のキャリアに悩む高校生たちのモチベーションにつながるようなコンテンツを展開する準備を進めている。
 ラグビー、バスケットボールに留まらず、競技の枠を超えた広がりに期待したい。




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