コラム 2020.05.14

ラグビー金言【11】世界でも俺たちだけだ。

[ 編集部 ]
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ラグビー金言【11】世界でも俺たちだけだ。
情熱と工夫の人、清宮克幸さん。勝負師でもある。(撮影/松本かおり)



 日本ラグビー協会の副会長に就く清宮克幸氏は、指導者として多くの実績を残した。
 サントリーでプレーヤー生活を終えた後、早大、サントリー、ヤマハ発動機で監督を務め、それぞれのカテゴリーで優勝を果たした。

 この人の手腕が高く評価されるのは、環境を問わず結果を出すからだ。
 2014年シーズンにヤマハ発動機を日本選手権での優勝に導いた。一度は強化中止の決定をしたチームの指揮官に就任して4年目のことだった。

 古巣・サントリーに勝って頂点に立った感激は大きかった。
 試合終了後には、選手たちがバックスタンドに走り、詰めかけた応援者たちと写真に収まった。その一枚は、清宮氏の宝物のひとつとなったそうだ。

【清宮克幸さんの金言】

 決して一級品が揃っているわけではないヤマハ発動機を引き上げたのは、「自分たちだけ」のスタイルを作り上げることが第一歩だった。
「例えば、普通の教科書で勉強していい成績をとっても、どうってことはない。でも、『この紙に書いてあることだけ勉強してみようよ』と何人かに渡し、100点を取ったら、その仲間には絆ができる。特別なことをやって結果を出せば、チームは結束する。それはプライドになり、武器になる」

 ヤマハの指揮官に就任したとき、レスリングをトレーニングに採り入れた。
「やるなら徹底しよう、と言いました。本物の指導者を呼んで、本物の場所を作り、本物のレスリングシューズを履いてやろう、と。これだけ本格的にレスリングに取り組んでいるラクビーチームは世界でも俺たちだけだ。高低差を使ってのタックルなら世界一のチームだ。そういうものを作っていきました」

「スクラムもそう。オリジナルのものを作り上げ、他が真似すれば、自分たちがこの国の流れを作ったと誇りに感じ、また次のものに取り組む」

 ヤマハは完璧なチームではないから、駆け引きやインテリジェンスを駆使して挑んだ。
「相手に武器が5つあって、こちらが3つしかない。そういうときは、相手の強みのいくつかを出させず、こちらの弱みが出ない試合の組み立てを考えます。そうやっておいて、自分たちの強いところで勝ち切る」


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