コラム 2020.03.19

宗像で泣きじゃくったNZの少女、東京オリンピックを目指す。

[ 竹中 清 ]
宗像で泣きじゃくったNZの少女、東京オリンピックを目指す。
中央がジャズミン・ホッサム。今年2月のシドニーセブンズで優勝し、ハカを踊る(Photo: Getty Images)


 毎年4月下旬から5月上旬にかけて福岡県宗像市で開催される高校ラグビーの国際大会、「サニックス ワールドラグビーユース交流大会」が、世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスの影響により今年初めて中止となった。
 2000年に始まったこの大会は昨年、20周年を迎え、記念誌には、これまで20か国・地域から累計約1万3000人が参加したと書かれている。日本代表の松島幸太朗や、アイルランドのジョナサン・セクストン、南アフリカのJP・ピーターセンなども出場選手として名前が記されていた。

 取材した過去の大会を思い返す。すると、真っ先に浮かんだのは、ひとりの少女だった。

 ニュージーランドのジャズミン・ホッサムだ。
 この大会に参加した海外の選手で、彼女ほど泣きじゃくった選手を見たことがない。

 2018年大会の女子セブンズ決勝後、初優勝を遂げた石見智翠館高校(島根)の部員たちが歓喜の抱擁を交わし、楽しそうに記念撮影をしていたそばで、ハミルトンガールズ ハイスクールの主将を務めたホッサムはチームメイトの胸の中でむせび泣いていた。
 当時17歳だった彼女はその数週間前、世界最強といわれる女子7人制ニュージーランド代表“ブラックファーンズ・セブンズ”のトレーニングスコッドに最年少で選出されたばかりのシンデレラガールだった。
 プロフィールには身長170センチ、体重65キロと書かれていたが見た目は華奢で、あどけない笑顔の持ち主であるホッサムは、サニックスワールドラグビーユース大会に本気で臨んでいた。そして、負けて悔しくて、いっぱい泣いた。

「毎年この大会に来ることをすごく楽しみにしていたんです。私にとっては今回で3回目でした」

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