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2019.07.27
ラグビーのまちで良かった。釜石の旅館「宝来館」女将、岩崎昭子さん
「希望が欲しいので、ワールドカップを目指したいです」
言葉の主は、選手ではない。釜石市鵜住居町にある旅館「宝来館」の女将、岩崎昭子さんだ。
2015年3月に釜石市がワールドカップ日本大会の開催都市に決まる、ずっと前。多くの人が招致を想像できなかったであろう復興のさなか、東京の鉄鋼会館で、想いを伝えた。
「東京の鉄鋼会館で、釜石を応援しようよという会があって、(NPO)スクラム釜石の皆さんもいて。そこで、希望が欲しいのでワールドカップを目指したいです、と言いました」
それがワールドカップ招致の第一声だったのだろうか。尋ねると、女将さんはかぶりを振った。
「スクラム釜石とか、そういう皆さんは、もう最初に活動しているから。『市民の声がなければ』という時に市民の声として、最初に言ったかどうかは分からないけど言ったことで、市民からも言われたぞ、となったんだと思うのね」
「ラグビーの人たちはみんな黒子に徹しているだけで、自分は自分は、とは言わないから。女将は商売だから前に出たいんだけど、実際は全然違うよ。私はただ旗を振っているだけだから(笑)」
大槌湾に面する有名旅館は、2011年の東日本大震災で2階まで浸水。岩崎さん自身も一度は波をかぶった。
被災から2か月が経った5月だった。
当時釜石シーウェイブスの事務局長だった増田久士さん、元日本代表の笹田学さんと会うなかで、ワールドカップ招致という夢が芽生える。変わってしまった故郷を歩きながら、言葉を交わした。
女将、ワールドカップあるから元気出せ。そう言われ、岩崎さんは答えた。それなら釜石でやってけれ。
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