ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ【最終節】 ラグマガ編集部ピックアップマッチ ウェールズvs.アイルランド
ラグビーワールドカップイヤーのシックス・ネーションズも、いよいよ今週末で最終節を迎える。順位表では第4節でスコットランドを破ったウェールズが唯一全勝で首位をキープし、1敗のイングランドとアイルランドがそれぞれ勝点1、2差で追う展開。優勝争いはこの3チームに絞られたが、6か月後に迫ったワールドカップ開幕に向け、どの国も最後までさまざまなチャレンジを見せるのが今年のシックス・ネーションズのおもしろさだ。ラグマガ編集部が節ごとの注目カードを選定し見どころを紹介する本コーナーで最後にピックアップするのは、優勝のかかる大一番、ウェールズ-アイルランドだ<@カーディフ・プリンシパリティスタジアム、3月16日土曜日23時45分キックオフ(日本時間)>。
開幕前から「この試合が優勝決定戦になるのでは…」と予想する声が多かったこのカードだが、ウェールズが全勝で最終節を迎えると考える人は少なかったのではないか。長くキャプテンを務めたFLサム・ウォーバートンが昨夏に引退を表明し、主軸のNo.8タウルペ・ファレタウ、FBリー・ハーフペニーもケガで離脱中とあって不安要素が少なくなかったウェールズだが、アウェーの初戦で前半0-16からフランスに逆転勝ちしたことで勢いに乗り、第3節のイングランドとの全勝対決を21-13で制してポイントテーブルのトップに立った。前節は今大会の地元エディンバラでの最終戦に意気込むスコットランドの渾身のプレーに苦しんだものの、要所を押さえて18-11で勝利。昨年3月から続くテストマッチ最多連勝記録を「13」に更新した。
現在のウェールズの充実を支えているのは、失点(58)、失トライ(6)いずれも参加6チーム中最少という堅固なディフェンス力だ。とりわけ際立っているのがラインブレイクされた後のカバーリングの反応と、自軍ゴールラインを背負った状況での粘り強さ。相手はチャンスを作りながらもトライを取り切れないシーンが続き、気がつけばウェールズのペースになっている――という展開が多い。
アタックでは、パワフルなペネトレーターの推進力を押し出して近場をたたみかける“ウォーレンボール”と呼ばれる戦術(ウォーレン・ガットランド監督の名にちなんでつけられた)が「力任せで魅力がない」と批判の的になることもあったが、今季はそのキーマンとなる選手がケガなどで抜けこともあり、かえってWTBジョシュ・アダムスやCTBジョナサン・デーヴィス、FBリーアム・ウィリアムズらのラン能力が目立っている。基本的にはシンプルに強みを生かすオーソドックスなスタイルで、南半球勢やイングランドのような爆発力はないものの、堅守でロースコアの展開に持ち込んで接戦を競り勝つ――というのが得意のパターン。ここまでの最大点差はイタリア戦の11で、4試合平均では7.8点差と勝ち方に派手さはないが、単純にスコアだけでは測れないしぶとさとたくましさが、ウェールズの真骨頂と言えるかもしれない。