国内
2020.10.29
【コラム】水色の結束
終わった――。
筑波大の岡崎航大主将は一瞬、天を仰いだ。
でも、水色のジャージの男たちの戦いは、まだ終わっていなかった。
10月18日、埼玉・熊谷ラグビー場での関東大学対抗戦。明大と競り合いに持ち込んだ筑波だが、最後にだめ押しのトライを奪われた。スコアは17ー31。時計の針は後半45分をさしていた。
トライ後のゴールキックが終われば、ノーサイドの笛が鳴ることは誰もが分かっていた。それでも、円陣をといた岡崎の耳に「キックチャージ、いくぞ」という誰かの声が聞こえてきた。ほかの選手たちも呼応する。
「最後までいこう」「チャージ、いこうぜ」
交代出場の背番号22、CTB一口(いも・あらい)隼人を先頭に、何人かが相手キッカーにプレッシャーをかけに走った。キックは決まったが、岡崎の目には最後まで戦い抜く仲間たちの後ろ姿が頼もしく映った。