コラム
2020.07.14
【ラグリパWest】教義とラグビー。 野々村成朗 [近大BKコーチ]
東花園駅の改札を出て、左に向かう。
ラグビー場とは反対だ。
恩智川の堤防を南へ下る。5分ほど歩いた住宅地に天理教の玉造分教会はある。
6代目となる後継者は野々村成朗。
名は「しげあき」だが、みな「シゲロー」と呼ぶ。母校・近大のBKコーチでもある。
「教務の優先を認めてもらっているため、思うように顔を出せず、チームに対して申し訳ない思いはあります」
月に1度の月次(つきなみ)のお祭りや上部団体になる八尾・高安の大教会を軸にする教会間のつきあいなど日々、忙しい。
その合間を縫った指導は6年目に入る。
総監督の中島茂は以前から高く評価する。
「いいコーチですな。教え方がうまい。学生と絶えず話をしています」
野々村は昨年から女子のセブンズユースアカデミーのコーチもつとめている。
この競技は小3から東大阪ラグビースクールで始めた。天理の中高をはさみ、近大、そしてサニックスまで現役を続けた。
現役時代は173センチ、74キロ。脚の速さを軸に、1点でパスを通せるなどテクニシャンになった。宗教を持つ人間の特徴でもある真面目さで練習に打ち込む。
天理高では1年からレギュラー。WTBを任された2、3年は全国4強と8強に入る。敗れたのは啓光学園(5−41)と東海大仰星(18−31)。両校は78、79回大会(1998、1999年度)の優勝チームになった。
近大は実家教会から近かった。自転車で15分もあれば着く。「イケイケ」と呼ばれた攻撃的ラグビーも魅力だった。
3年時の大学選手権(39回=2002年度)では明治を48−43で破り、8強に入った。
「前年、ボコボコにされた相手に勝てました。よかったなあと思いました」
前年度の同カードは47−75。ともにCTBで先発していた。4年生では主将も経験する。
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