地元の高校生とともに、地域を盛り上げる。三菱重工相模原ダイナボアーズの取り組み。
「あなたの街から、世界最高をつくろう」というビジョンを掲げ、心躍る体験が全国各地の日常にあふれる風景を目指しているジャパンラグビー リーグワン。ホストタウンとの結びつきを強めるべく各クラブがさまざまな施策をおこなっているが、その中でも特に地域密着に力を入れているのが、神奈川県相模原市を本拠とする三菱重工相模原ダイナボアーズだ。
相模原市内の小学校新1年生にクラブの公式マスコット「ダイボ君」をあしらったランドセルカバーを贈呈するなど、これまでもさまざまな取り組みを実施してきたダイナボアーズ。今季は地域と試合会場を結びつけることにより注力しており、とりわけ重視する高校生世代へのアプローチの一環として、ホスト開幕戦となる第2節横浜キヤノンイーグルス戦(2025年12月21日)で『ダイナスターズ&高校生ワタリドリパレード』というイベントを企画した。
具体的な内容は、相模原市内にある7つの高校のダンス部の生徒が相模原ギオンスタジアムで一堂に会し、ハーフタイムに全員でダンスパフォーマンスを披露するというもの。使用する楽曲は相模原にルーツを持つ人気ロックバンド[Alexandros](アレキサンドロス)の『ワタリドリ』で、「気持ちを合わせる」という意図のもと、全員で振り付けを統一。コーチとして2025年8月からクラブの専属チアチーム『ダイナスターズ』のメンバーを各校に派遣し、4か月に渡って入念な準備を重ねた上で試合当日を迎えた。
ダイナボアーズのマーケティングマネージャーを務める竹花耕太郎さんは、今回の企画の経緯をこう説明する。
「若者は地域の未来を担う存在です。若い人たちといかにつながりを作り、スタジアムにきてもらうかは、クラブとして長年の課題でした。どうすればそれができるかと考えた時、部活動でがんばっている高校生を連れてこられないかという話になり、今回の企画を考えました。普段は部活で忙しい高校生にスタジアムにきてもらい、一緒になって試合を盛り上げられたのは、すごく価値のあることだったと感じます」
当日は約200名の地元高校生が参加。フィールドをぐるりと囲うように全員で陸上トラックに並び、『ワタリドリ』のメロディーに乗ってダンスを踊る様は、まさに壮観だったという。
「観客席から今までにないくらいの拍手をいただきましたし、過去に実施したイベントとはまったく違う一体感がありました。準備の過程で私も練習を見に伺ったのですが、最初はなかなかうまく踊れなかったんです。でも本番ではみんな完璧に踊っていて。すごくがんばったんだろうなということがわかりましたし、感動しました」
単に招待されて訪れるのと、当事者として参加した上で観戦するのでは、試合への思い入れが変わってくるのは言うまでもないだろう。保護者や知人からの反応もこれまでと異なり、街中で「うちの子がお世話になりました」と声をかけられることがあったそうだ。
『我々はよく「ラグビーを通して街を元気に」といっていますが、本質の部分で街の人をどう巻き込めるかというのが永遠のテーマでした。その中でも若い世代にいかにアクセスするかという点で、すごくいいヒントが見つかりました』
参加した高校生や学校側にとっても多くのメリットがあった。積み上げてきた努力の成果を発揮する場があることは、モチベーションに直結する。数千人が観客席を埋めるスタジアム(当日の公式来場者数は7,128人)となれば、これ以上ない晴れ舞台だろう。
また公立高校のダンス部には専門の指導者がおらず、先輩や経験者が生徒同士で教えているようなケースも少なくない。豊富なキャリアを有するダイナスターズのメンバーから外部コーチとして指導を受けられたことは、貴重な機会になったようだ。
「ダイナボアーズの選手がラグビー教室をやるのと同じですよね。ダイナスターズのメンバーもすごく刺激を受けたと言っていましたし、お互いにとって成長につながる企画になったようです」

ダイナボアーズはシーズン全体でのべ1000人の高校生にこの企画に参加してもらうことを目指し、その後のホストゲームでも毎回地元高校のダンス部が発表する場を継続して提供してきた。さらに2月1日に相模原市民会館ホールで開催された地元の若者による軽音楽イベント、「SAGAMIHARA ROCK FESTIVAL 2026」に協賛。コンテストステージでは『ダイナボアーズ賞』を設定し、受賞した高校生が5月10日に相模原ギオンスタジアムでおこなわれるホスト最終戦(対浦安D-Rocks)のハーフタイムにライブ演奏を披露するというセレモニーも企画した。
「ホスト最終戦ではその他にも市内の高校で活動している軽音楽部や吹奏楽部、合唱部の生徒100名ほどにきてもらって、合唱を披露してもらう予定です」
街の人々を元気づけ、地域を活性化させる。それはスポーツチームの大切な使命だ。「競技面だけでなく、こうした企画でも、街の方々の表情が明るくなるようなことを発信していきたい」と竹花さんは言う。
「壁の中でやっていることなので、スタジアムの中は知らない人にとって遠い存在なんです。だからこそより多くの人にダイナボアーズに関わってもらい、スタジアムにきてもらうためのきっかけを作る必要がある。これからも地域の方々に楽しんでいただけるような取り組みをしていきたいと思っています」
そうした活動に共感する地元企業からの支援は年々増えており、自治体との連携も着実に進んでいるという。ラグビーを軸に街を盛り上げ、よりよい未来の創造に寄与する。そんなダイナボアーズの思いを、ホスト最終戦がおこなわれる5月10日の相模原ギオンスタジアムでぜひ体感してほしい。




