一般入試の星・栗田文介、憧れの早大で日本一になるべく最後まで身体を張る。
力を絞り出した。
早大ラグビー部4年の栗田文介は1月2日、東京・国立競技場にいた。
大学選手権の準決勝で帝京大と対峙。身長184センチ、体重102キロのLOは地を這ううち、31-21とリードして終盤を迎えた。2年連続の決勝進出に近づいていた。
最後は4連覇中の相手に追い上げられ、ほぼ防戦一方となっていた。
ここで、大仕事を重ねた。
34分頃、自陣ゴール前右でスティールを決めた。さらにラストワンプレーの局面でも、トライラインの近くで力強くタックルした。そのままノーサイドを迎えた。
「(最後に点を)獲られて終わるのは後味が悪いと思って、ターンオーバーを狙っていこうと。突き刺さるタックルに行けて、よかったです」
クライマックスの局面を乗り切るべく、ベンチはその時々で疲れのたまっていたFWのメンバーを次々と交代していた。スターターにもリザーブにも複数の位置で戦える人員がいたからこその、大胆采配を振るった。
ここで栗田は、最後まで代えられなかった。
序盤から衝突局面での出足、粘り腰をアピールし、心身ともにタフな状況になりながらも終幕まで奮闘した。
「足にも疲労がきていて、きつかったですけど、4年として意地を張ろうと。最後まで走り切れて、最後まで身体を当てられた。(フル出場は)信頼されているからかなと思って、プライドで、やり切りました」
主力組にスポーツ推薦組も混ざる強豪へ、愛知の千種高から一般入試で加わった。3年生の県大会が終わるや通学時間の活用、終業後の塾通いで早大一本の受験戦争に勝った。「1浪してでも行く」つもりだったが、現役でパスした。
そもそも小学6年から中学1年までの間にこの競技と出会ってから、ずっと「早大の泥臭いラグビー」に憧れていた。千種高にも、卒業生が早大に進んでいる傾向を見て入学していた。
憧れの環境では、現役時代のプレーをテレビで見ていた佐藤穣司コーチらにラインアウト、接点での動きを丁寧に教わった。
2年時は20歳以下日本代表の一員となった。最終学年時は秋以降に食事量を調整し、「体重をちょっと増やし、体脂肪を減らす」よう心がけた。寒い季節に突入したいま、パフォーマンスの高まりを実感する。
11日は国立で、明大との決勝に挑む。カードが決まる前に述べた。
「あと1週間。やりきるだけ。リカバリーして、次のプランを立てて、勝っていきたいです」
卒業後は国内リーグワン1部でプレーする見込みだが、当の本人は「その後のことは考えず、大学に(集中)」。まずは、クラブにとって6季ぶり17度目の日本一に喜ぶことだけを目指す。




