国内 2025.11.28

ブレイブルーパス眞野泰地、代表待望論への答えは?

[ 向 風見也 ]
ブレイブルーパス眞野泰地、代表待望論への答えは?
プレシーズンキャプテンに任命された眞野泰地[BL東京/CTB](筆者撮影)

 ラグビー日本代表に選んでほしい。

 28歳の眞野泰地は、所属する東芝ブレイブルーパス東京のファンにそう渇望されて久しい。

 身長173センチ、体重90キロと小柄も、国内リーグワン2連覇のクラブにあってインサイドCTBで主力を張る。

 フットワークと体幹の強さとの合わせ技で防御を切り裂いたり、ゲインラインの手前で巧みにパスをさばいたり。守っても的確な飛び出しで向こうの流れを断つ。

 東海大仰星高時代は高校日本代表で、東海大に進んでからは20歳以下日本代表で主将を担うなど、聡明さも評価されてきた。

 もっともフル代表選出には至らず。チャンピオンチームのレギュラーになった最近も、エディー・ジョーンズヘッドコーチ率いるナショナルチームからは声がかからない。就任間もない時期の候補合宿に招かれたのが最後だ。

 国内での実績と代表首脳との認識の違いが愛好家の思いを募らせる状況について、当の本人はまず「ありがたいです」と前置き。ここから続けるのは、セレクションにかかるか否かを超越した視点である。

「世界で通用する選手になりたいと思っている。それは、いま、東芝にいても磨ける。(代表選手には)いずれなっていきたいけど、『呼ばれただけ』になるんじゃなく、そこでチームを引っ張れないと価値がない。ワールドカップに出るなら、全部勝つチーム(の一員)でありたい。ただ、いまの自分の力じゃそうなれない。もっと強くなりたいです」

 代表に招集されてすぐに主軸となれるだけの圧倒的な力をつけ、強豪国を倒す際の中心人物となりたい。

 目標達成に向け、ブレイブルーパスでできることは多いと考える。

 選手同士の距離感が近く、ニュージーランド代表56キャップのリッチー・モウンガら世界的な実力者を擁し、かつ多彩なアタックシステムを搭載するクラブにあって、何気ない日常の積み重ねによって底力をつける。

 自身と同じポジションで、昨季コベルコ神戸スティーラーズから移ってきた池永玄太郎にハンドリングスキルを学ぶ。

「もっと速く、身体もでかく、うまさもあり、タフになれたら。伸びしろしかない。できていないことがいっぱいあるので。ハンドリングはまだまだ足りていなくて。玄さん、めちゃめちゃうまいので、教わりながらやっています」
 
 V3の期待されるシーズンを直前に控え、「順調。めちゃくちゃいいチーム作りができています」。テーマを「ファンダメンタル」とした。コンタクトの仕方、サポートの手法、攻撃陣形の作り方といったベーシックな領域を根本から見直した。

「基礎を突き詰めると、誰が出ても同じラグビーができる。求められているラグビー(の質)が、上がっていっています。たとえばひとつのバックドア(深い角度)のパスがミスになるだけで、自分たちのラグビーを(全体的に)止めてしまうんです。それをやってはいけないとなれば、皆が練習中にこだわるし、練習後も(個人セッションで)やる。(チームの)水準が高いからこそ、個々のスキルも上がっている」

 看板のモウンガが今年度限りで退団するのを踏まえ…。

「そういう面でも、ファンダメンタルにこだわるのはいいことだなと。もちろん先を見過ぎるのはよくないですが、リッチーがいる状態で『誰でもできることにこだわる』を固めていって、その後も崩れないチームになれる」

 数年来、フォワードの軸だったHOの原田衛、LOのワーナー・ディアンズがスーパーラグビーに挑戦しているが、リーダーでもある眞野は「いまのチームで、早くやってみたい」。現有戦力で12月14日の開幕節に挑むのが楽しみだ。

 埼玉パナソニックワイルドナイツを迎える初戦へは、クラブが「4万人プロジェクト」を謳って集客に尽力。プレーヤーたちは大勢のファンの前でアイデンティティを示す。

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