奮闘光る帝京大・河村ノエル、試練を乗り越えるべくつけたい「習慣」
大学選手権5連覇へ試練と向き合っている。
「最後の10分でこちらの元気がなくなってしまって、ひとりひとりやチームの弱い部分が出た。そして、筑波大のほうにエナジーがあった。それだけだと思います」
帝京大の河村ノエルがじっくりと言葉を選んだのは10月26日。栃木・足利ガスグラウンドで、加盟する関東大学対抗戦Aでの今季初黒星を喫した。
筑波大に14-18で屈した。終盤に逆転された。
戦前まで上位陣相手に2勝1敗と堅調な相手は、王者に土をつける策を練ってきていた。積極的にハイパントを使ってコンタクトの回数を抑制。ぶつかり合いでも複数名でのタックル、接点(ブレイクダウン)への圧力で、帝京大の強みであるフィジカリティに対抗した。
かたや圧を受けた側は、ちょうど自軍の原点を再点検しているさなかにこのゲームへ臨んでいた。接点を作る際の、走者と援護役のいろはがそれだ。河村は言う。
「(筑波大がひとつの局面に)枚数をかけてくることは事前にわかっていた。ただ、それに対してこちらは…。筑波大戦の直前になってから、自分たちのブレイクダウンはどうなのかと見直し始めていた。だから習慣にもなっていなくて、ファイトが足りなかったかなと」
本人は気を吐いた。総じてランナーへ鋭く突き刺さったうえ、結果によってはヒーローと遇されてもよいシーンを何度も作った。
14-13とわずか1点リードの後半7分頃。自陣22メートル線付近左中間で味方がターンオーバーされた直後にスティール成功した。
スコアが動かぬまま数的不利を抱えた14分頃には、自陣ゴール前左でカウンターラックを決めた。
身長175センチ、体重90キロのサイズで献身した。
「そこが、生命線で、チームから信頼される一番の方法なので」
発展途上にあると自覚する。前年度まではFLの青木恵斗主将ら4年間レギュラーだった突破役がいたが、いまの新たな陣容はより基本の徹底が求められる。7番は強調する。
「もう一度、やってきたことを信じる。また、最後までタフな人間であるためにオフのところも含めてやるべきことを見つめ直す。改善していきます」
クラブの伝統たる朝からの猛練習を通し、プレッシャーゲームを乗り越えるための地力をつけたい。秋は疲労が残ったままでも、それを乗り越えてゲームで全力を尽くす。
ブレイクダウンの件も含め、よい取り組みを「習慣」にできたらよい。以前にはこうも語っていた。
「ひとりひとりケア(調整)はしている。あと、多少、疲労があってもやるべきことをきっちりとやり切って臨むことが粘り強さに繋がる。普段の練習からそれを習慣にしていけたら。徐々に(状態を)上げていくというより、目の前の1戦、1戦を戦い抜いて、結果的にいい方向に進んでいく』
学生コーチでもある。控え組の練習試合でウォーミングアップを仕切ることもある。100名超の部員に目を配りながら、フィールド上の戦いに没頭する。
「手を抜かずにやり抜くことは意識します。しんどい状況でチームを観察して、自分からアクションしていくことも——まだまだできていないですけど——取り組んでいることです」




