【日本代表】秋のテストシリーズ初戦でワラビーズに肉薄。「ドライな状況ならさらにタイトな試合になっていた」とシュミットHC。
■リポビタンDチャレンジカップ2025
・10月25日@国立競技場
【日本代表 15-19 オーストラリア代表】
今年9月のパシフィックネーションズカップ決勝でフィジーをあと一歩まで追い詰めた日本代表が、秋のテストシリーズ初戦でさらなる進歩を証明した。
2年後の自国開催のW杯に向け順調に強化を進める世界ランキング7位のオーストラリア代表ワラビーズに、15-19の惜敗。過去2度のW杯優勝を誇る世界的強豪に鋭く迫り、あと一歩のところまで追い詰めた勇敢な戦いぶりは、チームが正しい方向に進んでいることをあらためて確信させるものだった。
小雨が降り続く肌寒いコンディションの中、14時50分にキックオフされたこの一戦。強みのフィジカルを前面に押し出して圧力をかけてくるワラビーズに対し、日本代表はひるむことなく体を当てて激しく抗い、序盤からタイトな攻防が繰り広げられる。
最初のスコアが生まれたのは開始13分だ。ゴール前でペナルティを得たワラビーズは、PGではなくFW戦で真っ向勝負を挑み、力で近場をこじ開けにかかる。最後はゲームキャプテンのFLニック・チャンピオン・デクレスピニーが左中間にねじ込んだ。
その後もボールポゼッション、テリトリーとも大きく上回るワラビーズが優勢にゲームを進めたが、この日の日本代表はたくましかった。見事だったのは前半16分過ぎから20分にかけての自軍トライラインを背負った状況でのディフェンスの場面だ。
ラックサイドをしつこく攻め立てるワラビーズのパワープレーに猛然と刺さり続け、最後の一線を死守。一時出場のCTBチャーリー・ローレンスがイエローカードを受け14人になってからも前進を許さず、相手がしびれを切らしBKに振ったところでFLリーチ マイケルがスティールを勝ち取った。
このピンチをしのいだ日本代表は27分、初めて相手陣で得たマイボールラインアウトの攻撃機会ですばやくBKに展開し、ワラビーズのラインオフサイドを誘う。SO李承信が約25メートルのPGを通して3-7とした。
しかしワラビーズもすかさず反撃。フィールド中央のスクラムからBKの数的優位を生かしてラインブレイクし、CTBジョシュ・フルックがポスト下へ走り抜ける。
さらに36分には自陣22メートル線付近のラインアウトからモールで前進を許し、横から防御に入ったPR竹内柊平がイエローカードに。続く左コーナーのラインアウトモールでなだれ込まれたが、これはTMOの結果オブストラクションがあったという判定でノートライになり、日本代表としては命拾いする形で3-14での折り返しとなった。
迎えた後半。どちらが次のスコアを挙げるかでゲームの展開が大きく変わる状況の中、日本代表がなんとしてもほしかった追加点をマークする。
12分、PG圏内で得たペナルティで迷わずトライを狙って左コーナーへ蹴り出すと、ラインアウトから準備したプレーでワラビーズ防御を揺さぶる。左中間のラックからショートサイドを攻めてPR竹内柊平が突き抜けた(8-14)。
その5分後、ワラビーズ自慢のラインアウトモールを止めきれずふたたび11点差とされたが、日本代表も21分、相手陣22メートル線内のスクラム起点のアタックで、ルーズボールに鋭く反応したSH藤原忍がトライライン寸前まで前進。サポートしたFLベン・ガンターが左中間に押さえ、SO李のゴール成功で4点差に迫る。
その後の20分は足が止まり始めたワラビーズに対し日本代表がいい形で攻めるシーンが増え、41,612人が詰めかけた国立競技場の熱気は最高潮に達する。続々と投入されたフレッシュレッグのリザーブメンバーも持ち味を発揮し、74分過ぎには相手陣22メートル線内に攻め込むチャンスを作った。
しかしワラビーズが底力を見せたのはここからだった。懸命のカバー防御でこの場面を守りきると、確実性の高いプレーを正確に遂行してじわじわと陣地を盛り返す。最後は日本陣で約2分にわたりボールをキープし続けて時計を進め、そのままフルタイムとなった。
15-19の最終スコアは、7度目となるワラビーズとのテストマッチ史上最少失点&最少得失点差。ジョー・シュミットHCは試合後の記者会見で「厳しい試合になったことに驚きはまったくない。日本代表は最後まであきらめることなく戦った」と語り、「ドライな状況ならさらにタイトな試合になっていたと思う」と日本代表の奮闘を称えた。

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