急遽スタッフ再編。ラグビー日本代表宮崎合宿レポート。

キャンプの取材現場で発覚したのは、アタックコーチの不在だった。
ラグビー日本代表は10月14、15日、秋のキャンペーンに向けた宮崎合宿のセッションをメディアに披露した。
12日から若手主体のJAPAN XVを合流させ、18日以降の計7戦を見据える。
正代表は25日に東京・国立競技場でオーストラリア代表に挑み、翌週には渡欧して南アフリカ代表、アイルランド代表、ウェールズ代表、ジョージア代表と順にぶつかる。世界ランクで上回る相手とばかり戦う。
このタフなロードに際し、スタッフの役割分担を再編成する。というのも、ずっと攻撃を担当してきたダン・ボーデン アシスタントコーチが参加しないこととなったからだ。
10月2日のスコッド発表時はリストに名前があったものの、キャンプ始動直前に離脱が決まった。
契約期間は今年度限りとあり、このまま退任する可能性が高そうだ。
「(本来はボーデンの)飛行機のチケットも用意していたのですが。家族の事情です。そんなにネガティブではない。仕方がないです」
こう語るのは永友洋司。ナショナルチームディレクターとして事前に本人と面談し、今度の判断に至った。ボーデンに帰国の意思が強かったという。
状況によっては急遽復帰の可能性もなくはないものの、現場はいまいる陣容で乗り切る覚悟だ。ボーデンの役目はエディー・ジョーンズ ヘッドコーチが、麻田一平アシスタントコーチとともに補う。
ジョーンズは言う。
「若くて家庭を持っているコーチは大変。異国に住んでいればなおさらです。彼にとっても苦渋の決断だったでしょう。もう、仕方がない。やり続けるしかない」
約9年ぶりに発足して2シーズン目の現体制下、コーチが離れるのは今回が2度目となる。防御を教えていたデイビッド・キッドウェル氏は初年度限りで退き、現在はギャリー・ゴールド氏がそのパートを担う。
プレーヤーは前向きであろうとする。主戦のSO、李承信は述べる。
「ミーティング以外のところでも、エディーさんとより密にコミュニケーションを取っていきたいです。ゲームが重なるなかでプラン(の落とし込み)、フィードバックなど、自分がしっかりリードしていきたいです」
今夏のパシフィック・ネーションズカップで台頭したCTBの廣瀬雄也も、こう頷く。
「そこ(人事)に関しては選手たちがどうこう言うことじゃない。皆、高いナレッジ、発言力を持っています。コーチがいる、いないに関係なく、同じ画(ビジョン)を見続ければいいアタックができる」
ちなみに今度の公開期間は、JAPAN XVの調整が主体となっていた。正代表の若手や初選出組も交えたJAPAN XVは、18日に大阪・ヨドコウ桜スタジアムでオーストラリアAと対峙するためだ。
メイングラウンドでの実戦形式トレーニングでは、JAPAN XVがナショナルチームの常連たちへ牙をむいた。
それぞれ適宜、人員を入れ替えるが、そこで下がった面々はサブグラウンドへ移動。狭い区画でのぶつかり合いに励む。そちらを仕切るのは、ジョーンズだった。
コーチングコーディネーターのニール・ハットリーがJAPAN XVのヘッドコーチを務める一方、本来の指揮官は「私は裏側でコーチング。降格です」。冗談を口にしながら、心中では25日の大一番をにらむ。