ワールドカップ 2025.09.10

サクラフィフティーンがワールドカップ開催国イングランドから帰国。レスリーHC「いったん私の契約は終わります」

[ 向 風見也 ]
サクラフィフティーンがワールドカップ開催国イングランドから帰国。レスリーHC「いったん私の契約は終わります」
左から有水剛志チームディレクター、長田いろは主将、レスリー・マッケンジーHC(筆者撮影)

 本当に努力した。それでも願いは叶わなかった。次なるステップについて、当事者が語った。

 女子15人制ラグビー日本代表は9月10日、ワールドカップを戦っていたイングランドから帰国。本大会では8強入りを目指したが、アイルランド代表、ニュージーランド代表といった上位国にそれぞれ14-42、19-62で屈して予選プールで敗退した。

 2019年に就任して2度目のワールドカップ指揮となったレスリー・マッケンジーヘッドコーチは、こう述べた。

「結果は残念。悔しく思っています。ただ試合での取り組み、ここに至るまでの準備、姿勢には素晴らしいものが多くあった」

 目標を準々決勝進出としていた。

 予選プール突破を目指し、ワールドカップイヤーは全国各地で長期キャンプを連発。対戦国を分析しながら心身を追い込んだが、世界ランクで日本代表を上回る国には及ばなかった。

 マッケンジーは「大きな世界大会で成功を収めるうえで要になったのは準備。これには日本ラグビーフットボール協会の多大なるサポートがあった。(用いられた)施設、時間は我々にとってかけがえのないものになった」と感謝しながら、構造的な課題を強調した。

「次のサイクルでは日本以外のチームがどうするかを学びながら進めることが不可欠。(各国が)いかにプロレベルで、フルタイムで強化を進めているかといったストラクチャー、それぞれがどういった大会に参加しているかなどに学ぶところがある」

 全敗に終わった’22年のニュージーランド大会後に国内外で多くのテストマッチを組んだが、定期参戦の国際大会は’23年にワールドラグビーが新設したWXVのみ。欧州6か国対抗戦が組まれるアイルランド代表などとは異なる環境下にある。

 ’17年のアイルランド大会でジャパンの指揮官を務めた有水剛志チームディレクターも頷く。

「日本の女子ラグビーとしては、’17年から3大会連続の出場。これが財産になっています。今後ベスト8以上になるには、その経験を繋げてゆくだけではなく、これから4年間のワールドカップタームでトップ10以上の国との本気の勝負の場、環境をどれだけ作れるか(が問われる)。高いレベルの大会にどのくらい参加できるかも重要」

 強豪国へのアクセス権強化とともに求められるのは、国内競争力の激化である。

 マッケンジーは「他国とのテストマッチをしたりするのも大切ですが、まずは国内の15人制大会(の充実化)から。それによって我々に必要な選手層を作れる」と話す。女子7人制日本代表もコーディネートする有水は、「大局的にどうベスト、あるいはベターな国内カレンダーを作るか」を肝としながら、予算面などでの難しさもあると口にする。

 FLの長田いろは主将は、積み上げた力を大舞台で発揮する難しさについて言及した。

「今回、うまくいかなかった時に流れに乗れないところがありました。ワールドカップ以外のテストマッチで、チームとしての経験をたくさん積まないといけない。『大きな舞台で力を発揮する』ということも大切だなと」

 献身が成果につながりやすい状況をいかにして作るか。

 ちなみにこれまでのプログラムをけん引したマッケンジーは、海外報道で今後の去就について報じられている。本人は「あいにく、ここで共有できる詳細事項は決まっていません。ワールドカップのサイクルはひと区切りがつき、いったん私の契約は終わります。これからの数か月でレビューをしたうえで、今後どうなっていくかの基盤的な話があると思います」と言葉を選んだ。

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