フランスでは『オレンジカード』に。20分レッドカードに代わるカードの導入決まる。

選手の健康第一が叫ばれる中、議論の的となっていた「20分レッドカード」が、トップ14とプロD2にもついに導入される。
この新ルールは、退場処分を受けた選手を20分後に別の選手と交代させることを認めるもので、フランスは反対の姿勢を示していた。しかし、ワールドラグビーが、国際大会にこのルールを導入した後、「すべてのエリート大会」での広範な試験導入を発表したことを受け、フランスでもこれに従う形となった。
昨年同様、8月上旬に行われたレフリー合宿の期間に、今年もトップ14とプロD2のコーチ陣が2日間合流し、元国際レフリーで、現在プロ部門レフリングテクニカル対策室を指揮するロマン・ポワットとマチュー・レイナルの両氏が中心となり新ルールについての説明と質疑応答が行われた。その中で最も時間が割かれたのが、「20分レッドカード」の導入についてだった。
まず、国際試合等ですでに導入されている「20分レッドカード」との大きな違いは、カードの色だ。フランスでは「観客が理解しやすいように」、オレンジ色になる。
また、バンカーシステムでは、主審がイエローカードを出した後に両腕を交差させ、専門のビデオレフリーが、スタジアムの雰囲気から離れた場所にある「バンカー」と呼ばれる部屋で再検証し、「20分レッドカード」に引き上げるかどうかを最終的に決定する。
しかし、カメラや通信ネットワークの設置や、バンカー用のレフリーや技術スタッフの確保など、技術的および財政的な理由から、バンカーシステムをトップ14に導入することは現時点では不可能。そのため、主審がその場で最終的な判断を下すことになる。
「ワールドラグビーとは異なるプロセスを確立する」と語るレイナル氏は、「私たちのレッドカードはレッドカード、イエローカードはイエローカードであり、これまでと同じ基準で判断される。オレンジカードは、その中間的な状況を裁くためだけに使用されます」と説明した。
主審は危険なプレーがあった場合、以下の4つの質問を自問する。
- 頭部への接触はあったか?
- 危険なプレーか?
- 危険性は非常に高いか?
- 情状酌量の余地はあるか?
この質問に対する答えが「はい、はい、はい、いいえ」となった場合、永久的なフルレッドカードが科される。「ワールドラグビーは2番目の質問で、その行動が合法かどうかも判断基準に加えている。もし合法的な行動であれば、処分は軽減される。しかし、私たちフランスのリーグでは、その行動が合法か非合法かに関わらず、他の基準が満たされていれば、永久的なフルレッドカードの決定は変わらない」と述べた。
そして、今年6月に行われたイングランドXV対フランスAでの、イングランドXVのWTBイマニュエル・フェイワボソが、フランスAのSOアントワンヌ・アストイに行ったハイタックルを例に挙げた。
「ワールドラグビーの基準では、タックルをしようとする行為があったため、選手の行動は合法と見なされ、20分レッドカードが選択されました。しかし、私たちフランスの基準で当てはめるとこうなります。
- 頭部への接触はあったか? はい
- 危険なプレーか?(行動が合法かどうかに関わらず)はい
- 危険性は非常に高いか? はい
- 情状酌量の余地はあるか? いいえ
したがって、私たちにとっては永久的なフルレッドカードになります。そうでなければ、私たちのスポーツにとって危険なことになります」
では、どのような場合にオレンジカードが出されるのか?
「これは、危険性の度合いや情状酌量の余地が、永久的なフルレッドカードにするには不十分で、かといってイエローカードに減軽するのも適切ではない、その中間的な状況に対応するための手段です」とレイナル氏は続ける。
こちらの例として、昨シーズンの欧州チャンピオンズカップで、スタッド・フランセのLOピエール=アンリ・アザゴがマンスターのFLピーター・オマホニーに行ったハイタックルが挙げられた。このプレーでアザゴはレッドカードを受けた。レイナル氏は、「ボールキャリア(オマホニー)がタックルに入る直前に姿勢を変えているのがわかります(低くなっている)。これは情状酌量の余地になりますが、十分に考慮すべきものか?これには議論の余地があるので、オレンジカードが適用されます」と説明した。
これらの説明の後、ボルドーのヤニック・ブリュ ヘッドコーチ(HC)が、「イエローカードが出る回数が減るのではないか」と懸念を示した。
これに対し、「それは考えすぎです。合法的なプレーでも、明らかな情状酌量の余地があれば、一部の危険なプレーは依然としてイエローカードの基準に留まるでしょう。危険性の度合いが低い、または中程度と判断された場合もそうです」とレイナル氏は説明した。
また、ヴァンヌのジャン=ノエル・スピッツァーHCは「カードの数が増えるリスクはないのか」と疑問を呈した。レイナル氏は「それは断言できません。多くの人が最も理解しやすいバージョンにしようと努めましたが、10%のケースは依然として議論の余地があるだろうと認識しています」と答えた。
また、オレンジカードも、レッドカード同様、規律委員会によって審査され、1週間またはそれ以上の出場停止処分が科される可能性があり、「これまで以上に規律委員会に出頭する選手が増えるのでは」と不安を口にするコーチもいた。
9月6日に開幕するトップ14の新シーズンで、この新しいルールがどのように運営されるのか、注目が集まる。