【選手コメントで振り返るリーグワン3位決定戦】埼玉ワイルドナイツ/「この負けをどうエネルギーに変えていくのか。それは今日から始まっています」坂手淳史

5月31日、リーグワンプレーオフ3位決定戦が秩父宮ラグビー場でおこなわれた。レギュラーシーズン2位の埼玉パナソニックワイルドナイツは、同5位のコベルコ神戸スティーラーズに17-22で敗れ、シーズン4位に終わった。リーグワンの初代王者は今季のプレーオフで、まさかの2連敗。ここではゲーム主将のFL大西樹、SO山沢京平、HO佐藤健次、SH高城佑太、HO坂手淳史の声を紹介する。
■FL大西樹/ゲームキャプテン
(雷雨の影響による中断時間の使い方について)
試合の入りは相手のアタックを受けてしまった部分があった。中断がいい時間になって、起きた問題や課題に対し、全員で話し合えた。すごくポジティブに使えました。
ディフェンスのホールディング、体をしっかり当てて、横(の選手)とつながることは改善できたが、何度もチャンスがありながらフィニッシュで取りきれなかった。そこは今後の課題です。
(※入場時に観客席に向かって手を挙げることについて)
どんなときでも応援してくれるファンがたくさんいて、ホームでもアウェーでも来てくれて、すごく力になっている。そこには応えたい、といつも思っていて手を挙げています。
(※ゲームキャプテンとして意識したこと)
3位決定戦自体が初めての経験でした。こういう試合でキャプテンを任されるからには、僕自身の仕事をしっかりとしてチームを盛り上げる。(ゲームキャプテンを)伝えられたときに、それがすごく大事だと思いました。こういう経験は絶対にムダにはならないので、来季に生かします。
■SO山沢京平
悔しいですし、自分の全部が下手くそだな、と感じましたね。
(準決勝のS東京ベイ戦と同じく相手が激しくプレッシャーをかけてきたか?)
いや、それほどプレッシャーがきついとは思いませんでした。自陣に入られたときにスコアされたのが痛かったですね。自分たちは(敵陣に)入ったときに取りきれなかったので。
(環境を含めて不運なところもあった)
いろんな要素がありますけど、それを介入させないことを1年間のテーマのひとつとして取り組んできた。それでも関与させてしまったので、もっと排除したかったとは思います。
(シーズンを通して試合に出続けた今季を振り返って)
学びと経験は大きかったですが、スキルやマネジメントモデルは自分の未熟さをすごく痛感した1年でした。あとはチームを勝たせるところ。もっと結果を残したかった。ただ、負けたことでしか味わえないものもありました。本当に悔しいですが、これから自分がどう過ごしていくかが大事。そういう意味では大きな経験ができたと思います。
(司令塔として)
責任感を1年間のテーマとしてきました。それを結果につなげたかったですけど、できなかった。そこが本当に悔しいですね。
(ジャパンへの思いは?)
ないです。本当にないです。いまは本当に悔しい思いがいちばんです。
■HO佐藤健次
(3位決定戦へのモチベーション)
来シーズンに向けてというか、これからのワイルドナイツのスタートだと思って臨みました。自分自身、もっともっと成長しないといけない、と感じました。この試合だけではなく、そういうシーズンだったとも思うので、もういちど体を作り直して頑張っていきたいと思います。
(準決勝でうまくいかなったスクラムの修正について)
堀江(翔太アンバサダー)さんとレッスンをして、スクラムはよく組めたと思います。でも、もっともっとプレッシャーを与えられるようにならないといけない。フッカーになって4年ですが、よりレベルアップしないといけないし、足りないところがたくさん見えたシーズンだったので、来シーズンに向けて、またイチから作り直していきたいです。
(1年間を振り返って)
大学では主将を務めて、代表で抜けた時期もありましたが、1年半くらいラグビーにコミットしてきました。特に去年の主将の期間と、今年のアーリーエントリーの期間はメンタルも技術も一気にレベルアップできたのかな、と思います。
結果は大学が準優勝で、ワイルドナイトでは4位でしたが、自分としては成長した部分や気づかされた部分も多く、すごくいいシーズンだったと思います。
ワイルドナイツに来て、今までやってこなかったことにも取り組んで、どんどん伸びてきたという実感があります。いちばんは体の作り方に対する考え方。スクラムの組み方も違いますし、ラインアウトのフォームもすごく変わりました。ゼロから作り直した感覚ですね。
今シーズンはそれを優勝という結果には結びつけられませんでしたが、来シーズンは自分の力で勝たせられるように、チームの優勝に必要不可欠なピースになれるように頑張りたいと思います。
(ジャパンに関してワイルドナイツでの経験は生きるか)
プロの強度、社会人の強度がわかったので、それを生かしたい。去年の代表は大学生相手から一気に社会人、世界となったので、動揺する部分やフィジカルのレベルの差に驚く感覚もありました。
この5か月はチームメイトに世界トップレベルの選手がいたり、対戦相手に世界や日本代表で活躍する選手がいる中で、10試合以上に出場できたのはすごく大きな財産。もし選ばれれば去年とは違った感覚で臨めると思うので、有意義な時間だったと思います。
■SH高城佑太
(神戸Sのプレッシャーが強かったが、どうボールをさばこうとしたか?)
特にラック周りのボールに対してのプレッシャーが強く、相手のプレイヤーの方が2人目も速かった。プレッシャーを受けていたが、それもさばききらないといけない。僕はそういうポジションだと思うので、言い訳はできません。
チームで、相手よりも2人目の寄りを速くするにはどうするか、という話はしましたが、それでも神戸さんに上回られた感じですね。
いま振り返れば、準決勝でもラック周りのプレッシャーに対する課題はあって、そこがクリアにできていなかったのかな、と。
(今季を振り返って)
前年に比べるとチームに貢献できる部分も増えて、すごくコミットできたシーズンでした。ただベンチに入っても出られない試合もあって、メンタル的にきつい部分もありました。それでも前を向いてやりきれたと思います。
最後もスタメンで出させてもらいましたが、それは僕だけの力ではなく、周りのいろんな人の力や思いが詰まって出られたと思っています。
■HO坂手淳史
(モチベーションの難しい試合だったか?)
それはなかったですね。チームの中では前回(準決勝)の負けを消化するのに少し時間はかかりましたが、次に向かって、来シーズンのスタートというところで準備をしてきたので。そこに言い訳はないです。
(神戸のディフェンスについて)
やはりプレーオフに残ったチームなので、お互いに堅いゲームになったと思いますし、天気も含めて難しいコンディションでしたが、(神戸の)ディフェンスは強かったですね。
(トライを)取れるところで取りきれないとこういうゲームになると思いますし、このチームは終わりますが、来シーズンに向けて、また準備をしていきます。
(来季に向けての課題)
いっぱいありますね。アタックもディフェンスもレベルアップしないといけないですし、僕自身のプレーもレベルアップしないと優勝カップは獲れない。これからオフシーズンですが、もっと強くなれるように、うまくなれるようにしたいと思います。
(今季の収穫は?)
前回のゲームでできていたことが急にできなくなったり、ミスが起こってしまったりということはラグビーでは起こり得ます。そこは大きな課題として取り組まないといけない。
ただ、できている時はすごくいいラグビーになりますし、ディフェンスもいい。そういう時間を増やせるようにしたい。(できない)原因がどこにあるのかを、このオフにみんなで突き詰めて、来シーズンに向かいたいと思います。
(個人として成長したいところは?)
もっとスクラムを押したいですし、ラインアウトのスローイングもいいときが多くなった気はしますが、まだまだやらないといけない。フィールドの中では効果的なタックルをしたいですし、キャリーももっと強くなりたい。
個人練習に付き合ってくれている若手もいるので、そこがもっとゲームにつながるようになればいいと思いますね。練習をしていると、自分がうまくなっている実感があってワクワクしてくるので、もっとプレーで出せるように頑張ります…ではないですね。まだまだやらないといけない。
(準決勝の試合後と比較して、表情の険しさが違うように感じるが?)
悔しいですけど、次に向かっていかないといけない。
落ちるところまで落ちて、負けを繰り返していると、チームに自信がなくなる懸念はあります。とはいえ一旦シーズンは終わるので、次のチームが始まったときに、この負けをどうするのか、どうエネルギーに変えて次に向かっていのくか、というところは今日から始まると思っているので。
試合に出られない選手のためにもっと体を張らないといけないし、自分たちはそれを託されています。その責任を果たせなかった部分もあるので悔しかったですけど、今日は本当にすっきりしたというか……。
いや、すっきりはしてないですね。悔しいですよ。来年のチームにはいない選手たちもこれから発表されていくので、そういう選手たちにとってはこのチームが最後でした。だから結果を残してあげられなかったのは悔しいですし、ちょっとやばいですね(目を赤くする)。そういう思いもあります。