佐藤健次[埼玉パナソニックワイルドナイツ/HO]が歩んだ激動のシーズン。思い描く成長曲線。
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大粒の涙をこぼした準決勝から6日後の5月31日。埼玉パナソニックワイルドナイツのHO佐藤健次は、準決勝と同じ舞台の秩父宮ラグビー場でおこなわれたNTTリーグワン プレーオフトーナメント3位決定戦・コベルコ神戸スティーラーズ戦に先発出場した。
5月25日、クボタスピアーズ船橋・東京ベイと対戦した準決勝、佐藤は24-25のスコアで1点を追う後半26分から出場。セットプレーの要として奮闘を期したが、スローワーを務めるラインアウトではノットストレートの反則を取られ、第1列で中央を張るスクラムではスピアーズに幾度も崩される屈辱を味わった。
気持ちを切り替えて臨んだブロンズファイナル前のトレーニングでは、昨季引退した元日本代表のOB堀江翔太氏による「レッスン」を受けた。この日は後半3分までプレーしキャプテンの坂手淳史と交替、チームは17-22で敗れシーズンを4位で終えた。
佐藤は43分間で示したパフォーマンスについて「スクラムは良く組めたのですが、もっとプレッシャーを与えなければならないと思います」と振り返った。前半17分のトライセービングタックルなど印象的なプレーも見せた。
「自分自身、もっと成長しなくちゃいけない部分を感じられました。この試合だけではなくてシーズンを通して。来シーズンに向けてもう1回体を作り直してがんばりたいです」
佐藤は早大2年時にNO8からHOへコンバートした。「HOになって4年目で、もっとレベルアップしなくちゃいけないし、足りないところが見えたシーズンだった」と語るこの1年は、悔しさを感じることも多かった。
早大で主将を務めた最終学年、関東大学対抗戦Aグループでは6年ぶりの優勝を果たすも、全国大学選手権は決勝で帝京大に敗れ日本一を逃した。失意の直後、アーリーエントリーで加入したワイルドナイツでは順調に公式戦のプレータイムを得ていたが、チームが目指す優勝には届かなかった。
望んだ「タイトル」はつかめなかったが、プレーヤーとしての「成長」を手にすることができたシーズンであった、と佐藤はここまでの歩みを回想する。
「いろんなことを経験して、いろんなレベルアップができて、メンタル的にも技術的にも、一気に成長できた1年半でした」
ワイルドナイツの一員となり、これまで知らなかった体の作り方や使い方を学び、スキルアップを実感している。今年2月から実戦の場に立ったリーグワンでもプレーの手応えをつかんでいるが「もっと成長できるな、という感覚がすごくある」という。
佐藤の内面にある伸びしろは、どこまで広がっていくのだろうか。目標とする2027年W杯の舞台、オーストラリアまで届かせたい。