国内 2025.05.29

プレーオフで爪痕。スティーラーズのマイケル・リトルは「コーチに感謝」

[ 向 風見也 ]
プレーオフで爪痕。スティーラーズのマイケル・リトルは「コーチに感謝」
準決勝は後半28分まで出場したマイケル・リトル[神戸S](撮影:福島宏治)

 負い目は感じていなかった。

 コベルコ神戸スティーラーズのマイケル・リトルは5月24日、東京・秩父宮ラグビー場にいた。国内リーグワン1部のプレーオフ準決勝へ、アウトサイドCTBで先発した。

 対する東芝ブレイブルーパス東京には、4月6日のレギュラーシーズン第14節で28-73と大敗していた。

 しかし、本拠地の神戸総合運動公園ユニバー記念競技場でのこの80分は、今度のノックアウトステージとは無関係だ。短期決戦は特別なのだと、当時不出場のリトルは確信して述べた。

「(対戦した)タイミングが(大量失点の)大きな要因となっていました。一方、準決勝となればタイトなゲームも増える。お互いがベストな状態で並びます」

 力を発揮した。

 キックオフ早々、敵陣10メートル線付近右の区画をえぐる。ハイタックルの反則を誘い、約2分後に先制するまで自分たちのアタックを継続させた。

 続く11分にも、自陣10メートルエリア右中間から約40メートルを駆け抜けた。

 守っても激しいタックルを重ねた。特に後半13分には、自陣ゴール前右隅でフリーの走者を追走。タッチラインの外に出した。

 もっとも試合は3-31で敗戦。逸機を悔やんだ。

「チームのためにベストを尽くしましたが、残念なことに結果はついてこなかった。敵陣22メートルエリアへ入った好機を得点に変える力で、相手が上回っていました。自分たちの精度を欠いてしまっていた。一方、ブレイブルーパスさんが素晴らしいディフェンスをしていた。いいシステムが敷かれていた。また、コリジョン(身体衝突)の部分で苦労させられました」

 身長180センチ、体重98キロの32歳。以前は限られた出場枠を争う「カテゴリB」に区分も、今季から無制限で出られる「カテゴリA」のひとりになった。

 ワールドラグビーの示すレギュレーションが変わったからだ。ルーツを持たない国で代表資格を得る条件が、当該国への連続居住5年以上から協会登録5年以上となったのだ。

 2017年来日もウイルス禍で一時帰国のリトルは、この世界的な改革のおかげでスティーラーズでの出番を得やすくなった。一時は怪我に泣きながら、レギュラーシーズン18戦中11度先発した。スターターの機会を昨季より7度も増やしていた。

「ゲームタイムが増えるなか、1週、1週、身体をプレーできる状態にするのが大変でした。週明けの月曜は身体が痛いことも。それでも選び続けてくれたコーチたちには、感謝したいです」

 立場を変えたことでより活躍したことで、自ずと代表待望論も引き起こすか。今夏のジャパンのキャンペーンへの思いを聞かれ、言葉を選ぶ。

「ゲームメンバーになるにはまず、(スコッドの)メンバーに選ばれることが先決です」

 再来年度からはリーグワンの選手登録の仕組みが変わる。義務教育合計6年未満の「カテゴリA」は「カテゴリA-2」となり、別な外国人勢と15名中8名というオン・ザ・ピッチの人数枠を競うこととなった。

 本人はこうだ。

「正直なところ、いまはその件については考えられていません。いつも、試合に向けた1週間の準備で頭がいっぱいになる」

 チームは5月31日、秩父宮で埼玉パナソニックワイルドナイツとの3位決定戦を控える。

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