ビッグインパクト。岡元涼葉[サクラセブンズ/東京山九フェニックス]
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サクラセブンズのインパクトプレーヤーだ。
岡元涼葉は主に後半から登場する。
サクラセブンズが今季、何度も見せてきた終盤での逆転に一役買っている。
「自分が出るまでに、出ていたメンバーが相手を疲れさせてくれています。そこでフレッシュな状態の自分が1本でも2本でも多く走らないといけません」
155センチ、60キロと小柄だが、コンタクトが起きてからも倒れずにグイッと前進できる。
モメンタムを幾度も生んだ。
「小さいからこそ、フットワークを使えば絡まれずに前に出られると思っています。回数を重ねていく中で強みが通用すると実感しているので、あとは思いっきりやるだけ」
15人制ではアウトサイドCTBを担う。やはり突破役のポジションである。
楕円球を追い始めたのは小学2年。筑波大、三菱自工京都のSHとして活躍した父・省二さんの影響だ。
始めた当初からボールキャリーが得意だった。
「お父さんはハーフなんですけど、パスができなくて…(笑)。突っ込んでばかりでした。男子相手でも全然怖くなかったです」
高校時代を過ごした京都成章には現在、次男の聡志が正SOとしてチームを引っ張っている。
コロナ禍だった高校3年時は京都西ラグビースクール時代に使っていたグラウンドに行き、「1on1」など一緒にトレーニングに励んだ。
「私のプレーに対して、辛口でコメントしてるみたいで…。お母さんからこんなこと言っていたよ、と聞いています」
東京学芸大への進学と同時に、東京山九フェニックスに加入。1年目には女子セブンズ・デベロップメント・スコッドの合宿に呼ばれたが、以降声はかからなかった。
「強みをまったく出せませんでした。もちろん悔しい気持ちもあったけど、通用する自信もなかったです」
いま思えば「経験不足でした」。高校時代はコロナ禍で軒並み大会が中止になり、ケガも重なって満足に試合や大会に参加できなかった。
あれから3年。パリオリンピックが終わり、新体制でスタートした2024年に満を持して代表デビューを果たす。アジアセブンズシリーズからここまで全大会に出場中だ。
その時には「このタイミングで良かった」と思えるほどの成長を実感できていた。
「フェニックスにはすごい人たちがたくさんいて、その中でしっかり成長できました。太陽生命(ウィメンズセブンズシリーズ)に出て決勝や準決勝といった緊張感ある舞台を何回も経験でき、15人制では全国で優勝させてもらいました。トップの海外選手がチームにもいたし、香港テンズやオーストラリア遠征で海外のチームとも戦う機会がありました。授業の関係でフェニックスの練習に参加できない日も多かったのですが、学芸の男子と練習させてもらえたことも大きかったです」
5月3日、4日におこなわれる「HSBC SVNS 2025 ワールドチャンピオンシップ ロサンゼルス大会」のメンバーにも名を連ねている。
シリーズ総合の上位8チームが進めるプレーオフだ。
「12チームでも相手が強いことに変わりはないのですが、今回の対戦チームを見ているとより楽な試合はひとつもない」と胸の高鳴りを伝える。
目指すは初のメダル獲得。第4戦のバンクーバー大会で成し遂げた4位を超えたい。
そのためには、ニュージーランド、オーストラリア、フランスといった、今季一度も倒したことのない上位3か国に勝つ必要がある。
「自分たちが次にステージに進むためには、その3チームに勝たないといけないと、由香(兼松HC)さんからも言われています。オーストラリアには勝てそうで勝てなかったところまでは来ている(香港大会のプール戦で10-14)。今回こそ勝ち切って、みんなでメダルを目指したいです」
岡元の役割はクリアだ。ロサンゼルスでも、ビッグインパクトを魅せる。