敵は己にあり。ルーキー抜擢の必然。ヴェルブリッツのいま。

自分たちがずっと一丸となっていれば、もっと結果は出せる。三浦昌悟はこう言いたげだ。
「プレッシャーがかかったタイミングでひとりひとりが違う方向にベクトルが向いていた。その点についてミーティングして、『どう自分たちの役割に戻っていくか』を話しました。一瞬、一瞬、ひとりひとりに役割がある。そこで自分の役割外のことをしてオーバーワークになる選手もいた。まず、役割を全うすることを、徹底しようと。そこができたら、いいスキル、いい選手、いい戦術が揃っているので勝っていける」
国内リーグワン1部を戦う、トヨタヴェルヴリッツの左PRだ。日本代表14キャップを誇る。
チームは第12節で三菱重工相模原ダイナボアーズに22―31で屈し、2連敗で12チーム中11位と苦しんでいる。攻め続けてスコアするシーンも作っているだけに、細部を整えたい。
23日には敵地のクラサスドーム大分で、2季連続4強以上で現在6位の横浜キヤノンイーグルスとぶつかる。
NO8で先発する日本代表5キャップのアイザイア・マプスアは、前節の反省点と次節への展望を戦術的視点でまとめる。
「先週の試合ではアタックラインに深さがありすぎ、相手ディフェンスへのプレッシャーを緩めてしまっていた。今回のイーグルスは(守りで)ラインスピードを上げてくる。冷静に対処したいです」
レギュラーシーズンは残り6試合。かつてニュージーランド代表を率いたスティーブ・ハンセンヘッドコーチは、ひとつの手を打った。
司令塔のSOに小村真也を据える。
この人は帝京大4年で、アーリーエントリーの制度によりここ3試合連続で途中出場。穴場をえぐるパスやキックで気を吐いてきた万能BKだ。スターター抜擢の意図を指揮官が語る。
「これまで途中出場でアタックへの貢献度が大きかった。自信を持って起用した。今回はスタートで出てどうなるか、決まってはいませんが80分出たらどうなるのか、ゲームの出だしをどうコントロールするのかを見ていきたいです。彼はクイックな球運びと精度、ライン際への仕掛けとそれに伴う(攻撃布陣の)深さのコントロール、スピード、フットワーク、キッキングゲームに長けている。伸びしろはあるが質が高い。今後も成長を促したいです」
FLには、帝京大で小村と同期という青木恵斗も名を連ねる。こちらは今回が3度目のスターティングメンバー入りだ。
自身もアーリーエントリーでのプレー経験がある24歳のマプスアは、「(青木と小村に)私ができることはミスが起きた時などフィールド上でのケアです。私自身もそうでしたが、若手はプレッシャーを感じるので、その点でサポートしたいです」と話した。