サンゴリアス仁熊秀斗、「強み」と向き合いチャンスを作る。
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競争の激しい東京サントリーサンゴリアスにあって、国内リーグワン今季初先発を飾ったのは2月23日。山梨・JITリサイクルインク スタジアムでの第9節に向け、26歳の仁熊秀斗は「やっと来たな。自分の力を出すチャンス」と高揚感を口にした。
身長172センチ、体重85キロ。石見智翠館高、筑波大時代は高校日本代表、20歳以下日本代表、学生セブンズ日本代表などに選ばれたWTBだが、国内外の一線級が集うクラブにあっては主力になるのも簡単ではなかった。さらに約2年前には大怪我を負い、戦線離脱を余儀なくされた。
それでも、昨季終盤にフィールドに戻れば「どうやって試合に出るかを毎日、意識して積み重ねてやってきた」。日本代表FBの松島幸太朗と1対1で抜き合うセッションをおこない、「1対1のトラッキング(間合いの詰め方)、細かいスキル…。いいところを盗んで自分のものにする」。実力者のよさを参考にしながら、最後は、自分が何者であるかにフォーカスした。
「強みを理解して、伸ばす。周りの凄い選手に合わせるのではなく、自分がこれまでやってきた自分のラグビー、自分の強みを見直して、トレーニングする」
もともと「スペースを見て、走り込む」のが得意だった。ボールをもらうタイミング、位置に関し、周りの選手とコミュニケーションを取るのを意識してきた。その流れでラインブレイクを狙う。
長所を最大化する取り組みを加速させたのは、昨季オフに実施のニュージーランド留学だ。オークランドのイーデンラグビークラブに約2か月間、所属し、大型選手ばかりの群れにおける自分の活かし方をアップデートした。
普段から「何でもいいから会話する」よう心がけ、初見の同僚とのコンビネーションも構築した。最後尾のFBでレギュラー格となり、その手応えを今度の出場機会にも繋げた。
今年度2試合目の出場となるD-Rocks戦では、前半19分に連携攻撃からフィニッシュした。2戦連続となる通算2トライ目だ。防御の連携に課題を残したとあり「僕らが強みとするアタックでトライを獲れたのはよかったですけど、ディフェンスで簡単にトライを獲られた時は反省しないといけない」と反省も、40-35で4勝目を挙げた。球を持ってフェーズを重ねるクラブにあって、防御に風穴をあける力で存在感を示す。