2024年都内の国公立大大会、東京学芸大が連覇。29―28で東京大を破る。
都内にキャンパスを置く国公立大学ラグビー部の大会は、6月9日に2024年度の決勝がおこなわれた。昨年度優勝の東京学芸大が東京大に29-28とわずか1点差で勝利し、連覇を達成した。東大は1995年大会の優勝以来、29年ぶりに決勝へ進んだが壁を破れなかった。
「学芸大、1年生が3トライで僅差をものにした」
東京大駒場キャンパスでおこなわれた決勝戦。前半、キックオフから東大がホームを訪れた卒業生や選手の家族の声援を背に学芸大エリアへ。しかしここはノックオンでチャンスを潰した。3分、学芸大が敵陣へ入ると東大が接点でノットロールアウェー。学芸大FB岡田喬一(M1年、桐蔭)が迷わずPGを選択し先制点3点を得た。
8分にはルーズボールを確保した学芸大がバックスで継続し、1年のインサイドCTB木村粋雅(きよまさ、桐蔭)が左隅に仕留めた。木村は準決勝から2試合連続トライ。コンバージョン(G)は外れ8-0とする。
東大も自陣からつないでSO桑田昂(4年、日比谷)のゲインなどで攻め続ける。13分に学芸大陣22メートルで左ラインアウト、学芸大が反則。ここでピックアンドゴー、フォワードがゴール前へ持ち込む。LO領木彦人(3年、ソウル外国人学校)が右中間インゴールへねじ込んだ。Gは主将FB吉村寿太郎主将(4年、駒場東邦)が決めて7-8と1点差にした。
ここから東大に痛いミスが続出した。「マイボールラインアウトでミスして得点を取られた」(東大・青山和浩監督)。30分、東大陣でマイボールラインアウトがノットストレートになる。学芸大のスクラムで再開、学芸大ノックオンから東大がタッチに出す。学芸大は左ラインアウトからボールを運ぶ。FB岡田のラン、SO佐々木幹太(2年、秋田中央)へ。佐々木はさらにパスをした後、リターンをもらい左中間でトライラインを越えた。Gは岡田が成功し15-7。
32分、リスタートのボールを補球しようとした学芸大選手に東大フォワードが空中で当たり、イエローカードを受ける。38分、1人少ない状態の東大ゴール前、学芸大スクラム。優位にゴールラインまで進めると学芸大CTB木村がこの日2本目のトライを奪う。22-7と15点差でハーフタイムになった。
東大は、本大会、2回戦28―14東京工業大、準決勝19-7一橋大と勝ち上がってきたが、得点は前半のみ。「後半、得点できないことの理由は不明」(青山監督)。
だがこの日は違った。後半、最初の得点を奪う。17分、敵陣5メートルの左スクラムを押し込むとスロワーの左PR辻翔太(4年、開成)がトライラインを越えた。G成功14-22、観衆が沸いた。2分後、自陣からのキックが50/22ルールで東大のラインアウトになった。しかしここでもまたもラインアウトから出たとことでノックオン。
24分、ハーフラインのラインアウトを投入ミスすると学芸大が奪い、ゲインを重ねてきたアウトサイドCTB片岡正太(3年、青山)がディフェンスを破る。ラストパスが前半途中から左WTBに入った1年生、吉田泰樹(愛知・時習館)へ。「トライしかないと思って走り切りました」。吉田が左中間へダイブ。高校時は合同チームで県大会に出場し3回戦止まりだった。「将来は理科の先生を目指しています。強いチームでラグビーをしたい」と進学した。27-14、Gは岡田がプレッシャーを受けながらも蹴り込んで29-14と2T2Gでも追いつかない点差とする。
東大はあきらめない。35分はFB吉村のランからチャンスを作るとゴール前ラックでFL礒崎竜之介(4年、本郷)が左中間へ。G成功。そして41分、最後の攻撃。またも礒崎がねじ込んだ。GはSO桑田が決めた。28-29。ここでノーサイドの笛が鳴った。
東大・吉村主将。悔しさを残しながら語った。「この大会を経て成長してきました。結果は現時点の実力と、しっかり受け止めます。負けをばねにして(秋に向けて)頑張っていく」。国公立大にしては珍しい60名近い部員を誇る。この日、先発15名中、3年生以上が14名。下級生は2年生が1名。リザーブも下級生は2名のみ。今春、15名の1年生が入り部内競争が強化につながる。
勝者にも苦労があった。準決勝はリザーブ1名で勝利。決勝は選手が戻り4名に増えた。1年生を先発に4名、リザーブ2名と起用する事情がある。SH北澤陽斗主将(4年、茗渓)は、ほっとした表情。「僕自身が教育実習もあり練習に十分、参加できませんでした。ほかの4年生がチームを引っ張ってくれた。まずは1冠を得たので全国地区対抗、優勝のために努力します」。