石見智翠館、國學院栃木との一進一退の熱戦制し12大会ぶりのファイナルへ【全国高校選抜大会】
コンタクトとディフェンスにプライドを持つチーム同士の激突となった準決勝第1試合。序盤から一進一退の拮抗した展開となった一戦は、石見智翠館が後半28分の勝ち越しトライで國學院栃木を24-17で振り切り、12大会ぶりの決勝進出を果たした。
お互い積極的にボールをつないで攻め合う動きの多い立ち上がりの中、先にスコアを上げたのは國學院栃木。開始8分、中盤の連続攻撃で前進を重ねると、FB永沢拓夢のラインブレイクからリターンパスを受けたSO神尾樹凛が右中間に飛び込む。
しかし自陣でプレーする時間が長かった石見智翠館も13分過ぎにWTB久住誓蓮のビッグゲインを起点にようやくチャンスを作り、辛抱強くアタックを継続してキャプテンのNO8祝原久温がポスト左にフィニッシュ。FB新井竜之介のコンバージョン成功で7-5と逆転する。
以降も激しいせめぎ合いが続き、國學院栃木が24分にFL加藤成悟のトライで勝ち越せば、石見智翠館も28分にWTB久富洋希がゴールラインを越えて12-12に追いつく。スコアが示す通りの互角の内容で、前半の30分を終えた。
サイドが入れ替わった後半は、キックオフ直後にゲームが動く。石見智翠館が自陣10メートル線付近のキックレシーブからアタックを継続し相手陣レッドゾーンへ攻め込むと、FB新井が右大外へのキックパスを見事に通してFL神保友海がインゴールへダイブ。ふたたび石見智翠館が17-12と一歩前に出る。
その後は20分近くスコアが動かない膠着状態が続いたが、諦めない國學院栃木は23分に相手陣ゴール前のペナルティからじわじわとゲインを重ね、右大外でカットパスを受けたWTB井戸川ラトレルが右中間に切れ込んでトライ。残り5分あまりで17-17とゲームを振り出しに戻した。
引き分け抽選も頭に浮かび始める時間帯だったが、この勝負どころで底力を発揮したのが石見智翠館だった。28分、スクラムを起点にBKの鋭いラインアタックでゴールラインに迫ると、最後はNO8祝原がラックサイド力強く突き抜けてポスト脇にグラウンディング。最終盤の自陣でのディフェンス機も堂々と守り切り、石見智翠館が歓喜の拳を突き上げた。
「自分たちはベスト4で一番弱いチーム。だから同点になるのは想定内だったし、まだ時間があるから落ち着いていこうと話しました」
試合後、残り5分で同点に追いつかれたシーンをそう振り返ったのは、石見智翠館のNO8祝原キャプテンだ。疲労がピークに達する中、プレッシャーがかかる状況にも動じることなく巡ってきたチャンスを仕留め切り、表情には充実の色が浮かぶ。
一方、昨年に続きベスト4の壁に阻まれた國學院栃木。吉岡肇監督は「実力伯仲。いいチームでした、石見智翠館」と相手を称えた後、「ロングパントを蹴るべきところでハイパントを上げて、相手にスクラムを与えてしまった。そのあたりの徹底ができなかった」と、最後に勝ち越しトライを与えた直前のプレー選択に悔しさをにじませた。